「対米自立の時代が来た!」(辻説法)

『月刊日本』辻説法(2016.11.01)の様子を紹介します。
今回は、本誌編集長・坪内隆彦の訴え「対米自立の時代が来た!」です。

「今、グローバル資本が世界を席巻しようとして、我々日本国民の生活が破壊されようとしているわけであります。その象徴がTPPに他なりません。そして我々はアメリカという大国の従属下に置かれ、経済政策のみならず、外交政策、あらゆる国家の基本政策がアメリカの意向によって作られている。まさに我々が日本の自立と再生を目指す理由であります。

数年前にジャパンハンドラーズと呼ばれるジョセフ・ナイ、あるいはアーミテージといったアメリカの学者が作ったレポート、そのレポートに沿って日本の政策が作られている。TPPのみならず、集団的自衛権、あらゆる政策が彼らの意向に従って作られているわけであります。

かつて日本は大東亜戦争を戦い、敗戦したわけでありますが、その後日本はアメリカの占領下に置かれ、サンフランシスコ講和条約で主権を回復してからも、日米安保条約が結ばれ、米軍基地が本土に置かれ、外交防衛政策をアメリカに完全に依存してきたわけであります。

そうした中でも、親米の吉田政権のあと、鳩山一郎政権、あるいは石橋湛山政権、あるいは1970年代の田中角栄政権、少しでも日本の主体性と独自性、自立を回復しようという模索はあったわけであります。ところが、そうしたアメリカの従属下から出ようとする政権は全て短命に終わり、アメリカの意向に沿って動く政権というもの、たとえば吉田政権、中曽根政権、小泉政権、そして今の安倍政権。全てアメリカの言いなりになる政権は長期政権として継続してきたわけであります。

もちろん戦後、米ソ東西冷戦という中で、日本が独自で安全保障を確保することが難しい時代もございました。その中で日米安保条約というのは、日本の安全保障を維持する一つの方策として国民の支持を得てきたわけですが、冷戦終結後も日本はアメリカからの自立ができないまま今日に至っているわけであります。

その米ソ冷戦でも世界には第三勢力、第三世界、アジアアフリカ・バンドン会議に象徴される独自の外交を確保する、民族自決を維持するという運動があったわけであります。その運動は非同盟諸国会議に受け継がれ、今もその力は世界にあるわけですが、その力が近年弱まっているのも、世界を覆うグローバル資本の意向によって、そうした民族の自決を守るような政策を破壊するような世界的な力が働いているからに他なりません。

そうした第三世界、第三勢力を目指した世界の動きが弱まった中でも、たとえば東南アジアを見れば、マレーシアでは1981年にマハティール首相による政権が生まれ、イギリスの影響を脱し、そしてアメリカからの自立を目指した動きが展開され、外国からの干渉を排除した独自の政策が採られてきたわけであります。そして今ASEAN諸国を見て、アメリカから離れ、独立の政策を模索しようという動きが再び出てきているわけであります。

その一つが先日日本を訪れたフィリピンのドゥテルテ大統領の政策であります。もちろんフィリピンにはフィリピンの国益を守るためのしたたかな外交、中国との関係、日本との関係をフィリピンの国益に使おうというしたたかな発想はもちろんあります。ただし今ドゥテルテ大統領が考えていることは、アメリカの属国、この100年に及ぶアメリカの属国たる地位から脱して、主体的な政策を決める国家になりたい、という願望ではなかろうかと思います。

ところが日本は安倍政権のもと、全くアメリカ追従から抜け出せないまま、グローバル資本の意向に沿い、惰性的に政策を決定しているわけであります。いまアメリカではクリントン優位から再びトランプが窮迫しているわけであります。結果は分かりませんが、トランプが主張していることは、もはや中産階級の没落、それは自由貿易によるものである、自由貿易を絶対視する考えから脱し、アメリカの国益を追求する、そしてその路線を支持するアメリカ国民が増えているということであります。

アメリカに日本は依存してきたわけですが、トランプ的な考えがアメリカ国民の間で支持されているとすれば、日本は日本として自立せざるをえない時代が早晩来ることは間違いありません。いま中国が大国化し、安全保障上の脅威だという指摘がありますが、こうした中で日本がアメリカから独立するためには、いかにして日本が自分の足で立てるか、安全保障も含め独自の方策を改めて考える時期に来ているのではないでしょうか。」