「プロ市民」が率いる日本会議

「プロ市民」とは何か

 東京MXの「ニュース女子」という番組が、沖縄県の米軍基地反対運動は「日当をもらっている」などと誹謗中傷したのは、それにより米軍基地反対運動に参加している人たちを「プロ市民」と見なそうとしていたからだと思います。「プロ市民」とはネット上のスラングで、一般市民を装いながら営利目的のために政治活動を行っている人たちのことを指します。つまり、東京MXは、基地反対派はお金のために活動を行っているだけだと思い込んでいるのでしょう。

 これに対して、日当を払っていると名指しされた、ヘイトスピーチやレイシズムに反対する団体「のりこえねっと」は抗議声明を出し、徹底的に反論しています。この抗議声明を読めば、東京MXの番組がいかにいい加減なものであるかがわかります。

 「プロ市民」という言葉はこの他にも「専従」に近い意味で用いられることもあります。「専従」とは政治団体などから給料をもらい、活動に専念している人たちのことです。活動で飯を食っているという点では「プロ市民」と共通するところがあり、それゆえ専従も批判の対象となってきました。

 しかし、活動で飯を食っているということで言うならば、それは保守系の政治団体である日本会議も同様です。沖縄の基地反対運動を批判している人たちの中には日本会議関係者もいますが、彼らは他人を批判する前に、まず自分自身を省みたほうがいいでしょう。

 ここでは、『日本会議をめぐる四つの対話』(弊社刊)に収録されている、著述家の菅野完氏の議論を紹介したいと思います。(YN)

お金のかからない運動

菅野 ……そういう意味では、日本会議は理想の市民団体ですし、それを率いる椛島有三さんはまさに「プロ市民」ですよ。よくネトウヨ(ネット右翼)が左翼活動家たちに対して「あいつらは活動で飯を食っているプロ市民だ」と批判しますけど、僕がプロ市民と聞いて一番最初に思い浮かぶのは椛島さんですね。

 椛島さんは大学を中退して以来、22歳の時から現在まで肩書が全く変わっていないんです。ずっと日青協会長なんです。彼はおそらく生まれてこの方、誰とも雇用契約を結んだことがないはずです。本当に活動だけで食っているんですよ。それはたいしたもんだと思います。

沖縄差別が蔓延する日本
何の根拠もない沖縄批判  1月2日にTOKYOMXで放送された「ニュース女子」という番組で、沖縄県の米軍基地反対運動は「日当をもらっている...