菅義偉 国民の手に憲法を取り戻せ

 現在、日本の安全保障は危機的な状況に置かれている。尖閣諸島をはじめ竹島や北方領土というわが国の領土に対してこれほどまでの暴挙を許すことなど、自民党政権時代には考えられなかったことだ。

 このような事態に陥った最大の原因は、民主党政権が日米間の信頼関係を破壊してしまったことにある。普天間基地問題の迷走などの結果、アメリカは日本に対する不信感を募らせ、日本から距離を置くようになってしまった。

 現在の状況を打開するためには、何よりもまず日米の信頼関係を再構築し、さらに深化させることが重要だ。そのためにも集団的自衛権を行使できるようにすることが必要である。

 これは何もアメリカにベッタリ寄り添うということではない。集団的自衛権の行使は、アメリカと対等な立場に立つためにこそ必要なのであり、アメリカに対して強く物を言うこともできるようになる。これこそ本当の同盟関係であろう。

 また、巡視船を増やすなど海上保安庁の体制を強化し、日本の領海に中国の船が常駐するような事態を阻止しなければならない。自分の国は自分で守る。あまりにも当然のことだ。

 尖閣問題は日本にとって国を守ることを真剣に考える機会になった。日本人はこれまで平和憲法によって日本の平和が守られていると勘違いし、周辺諸国も日本と同じように平和を追求していると思い込んでいた。

 しかし、今回の事件で、日本の主権を侵害するような国家が近隣に存在することが明らかになり、多くの国民が現行憲法では平和を維持していくことが難しいと考えるようになっているのではないか。

 国家の根幹に関わる憲法と教育基本法はGHQの占領下で作られ、戦前の反動から日本を弱体化させる意図も強くあった。本来であれば主権回復と同時に憲法を改正すべきだったが、手つかずのまま今日まで至ってしまった。

 戦後に憲法を改正していない国は日本だけであり、同じ敗戦国のドイツでも50回以上改正されている。憲法は時代に合わせて変えていくべきだ。自民党は今年の4月、サンフランシスコ講和条約発効60周年に合わせて憲法改正草案を発表した。そこでは、天皇が元首であることや国防軍の保持、環境保全の責務、緊急事態の措置などについて明記した。

 もっとも、一挙に憲法の全てを改正することは難しい。まずは憲法96条に定められている「各議院の総議員の三分の二以上の賛成」という改正要件を「二分の一」にするところから始めなければならない。この厳しい要件のために今まで一度も国民投票が行われていない。要件を緩和して国民の手に憲法を取り戻したい。……

以下全文は本誌11月号をご覧ください。