「我々は健忘症だ!3・11のこともほとんど覚えていない」

 『月刊日本』辻説法@新橋(2016.09.04)の様子をご紹介します。
今回は南丘喜八郎主幹の訴え「我々は健忘症だ!3・11のこともほとんど覚えていない」です。

台風10号というのがありました。一旦沖縄近くに行って迷走して、そこで急速に大型化し、そして本土に近づき、最終的には岩手県に上陸、東北地方と北海道を襲いました。たくさんの犠牲者が出ました。特に岩手県の岩泉町というところでは、老人の方々のグループホームが急速に増水した川の水で流されて、一気に10人余りの方々が、お年寄りが亡くなられた。北海道でも同様であります。

皆さん、ああ北海道、東北に台風が行ったから、ああいう犠牲者が出たんだと単純に考えてはならないと思います。なぜならば、日本は今から150年近く前に明治維新を成し遂げ、近代化をして参りましたけど、この近代化した日本が国民から集めた税金を使ってインフラ整備をしたのは京阪神、東京周辺、そして西日本であります。

かつて江戸幕府と親しくしていた、いわゆる奥羽列藩同盟、これは賊軍とされて、彼らは徹底的に日本の近代化の犠牲にさせられてきた。ですから、国のお金を使って治山治水のための工事はほとんど行われてこなかった。こうした天災地災には非常に弱い、そうした風土が東北北海道に残されてしまったんです。

その結果が、今回の災害で大きな被害をもたらした、私は基本的な原因だと思う。つまり、今回の台風10号による東北北海道の被害は、日本の近代化で、その過程の中で、東北北海道が犠牲にさせられてきた、インフラ投資がほとんど行われてこなかった、その結果が今回の大災害を招いた、私はそう考えます。

しかしながら、こうした大きな流れの中で国の政策を捉え、批判するマスコミは皆無であります。気象庁、あるいは県、自治体が出した警戒警報に対して、現場の老人ホームの責任者は対応が遅れた、対応が遅かった、まずかった、こうした視点でしかものを捉えていないのです。

しかし長い目で考えてみれば、実はこの東北や北海道には治山治水が十分にされてこなかった、そのためのお金も投下されてこなかった。これはあえて言えば明治維新政府を作った薩長藩閥政権、つまり長州薩摩。この西日本にあった雄藩の後輩たちが、彼らの出身地である西日本を中心に、あるいは東京を中心にたくさんのお金を投じて近代化をしてきた。忘れ去られたのが東北北海道だったのです。私たちはそうした目も向けなければいけない。

5年前の3・11で東日本大震災がありました。いまだに10万人を超える人たちが仮設住宅で過ごさざるを得ない。その仮設住宅を今回、台風10号が襲ったのであります。私たちは残念ながら健忘症であります。5年前のことはほとんど覚えていない。あの時大変な事態になって皆さんも驚かれた。東京も大地震になった。交通網も途絶えた。

しかし、今もまだ、あの東日本大震災の被災者の方々はご苦労をされている。それを今の政治はほとんど無視をしている。果たしてこんなことでいいのか。私は怒りすら覚えるものであります。『月刊日本』はそうした恵まれない、しかし懸命に働いている、国を支えている方々のために、我々の主張を皆さんにお届け申し上げていきたい。そう考えております。」