月刊日本 5月号


―――目次―――
【巻頭言】 僕は忠義をする積り、諸友は功業をなす積り  本誌主幹 南丘喜八郎

【永田町から 私の視点】
第二回 馬淵澄夫 「需要サイド」への発想転換を

【羅針盤】
酒井信彦  チベットの叫びを聞け
宮崎正弘  北京の政変、香港も揺らす

【特集】劣化する日本政治
日本人は魂を抜かれたのか  亀井静香

【内政問題】
森田 実    政治家よ、マスコミに媚びるな
中村慶一郎  保身の政治と決別せよ!
平野貞夫    利権化した政治を糺す

【外交問題】
菅沼光弘  北朝鮮ミサイル発射 戦略なき日本の悲劇
宮崎正弘  重慶事件の本質と波紋
宮脇磊介  米国追随から脱却し、対露「攻めの外交」を!

【今こそ五・一五事件を問い直す】
なぜ「青年」たちは決起したのか  本誌編集委員 中村友哉

【連載】
鈴木宗男    まずは「隗より始めよ」
三浦小太郎   三島由紀夫と高橋和巳
植草一秀    野田政権退場が日本を救出する唯一の道だ
山浦嘉久    キリスト教世界はユダヤ人を見限るのか
佐藤 優     『太平記』を読み解く 「赤松円心白旗城を構へる事」
藤井厳喜    オバマ再選を助けるロムニーの不人気
尾崎秀英    プロコフィエフ 交響組曲「キージェ少尉」
山崎行太郎   ドストエフスキーとミシェル・フーコー
西村眞悟    支那の歴史はプロパガンダだ!
その他多数

【書評】
自滅するアメリカ帝国
不愉快な現実

価格:¥650(税、送料込)

【巻頭言】 僕は忠義をする積り、諸友は功業をなす積り  本誌主幹 南丘喜八郎

 『月刊日本』は平成九年、五月号を創刊号として発刊して以来、今月号で十六年目を迎える。この間、時事日に非にして、我が国は亡国への道を一瀉千里に進んでいるとの危機感を覚える。吉田松陰を思う所以である。
 安政六年(一八五九)、井伊直弼が大老の座に就くや、安政の大獄の嵐が巻き起こった。この前年、松陰は幕府が朝廷の勅許を得ずに日米修好通商条約を調印したことに激怒、遂に倒幕を決意する。松陰は老中間部詮勝の暗殺を企図したが、弟子の高杉晋作や久坂玄瑞らは自重を迫り、計画は頓挫、松陰は野山獄に再入獄する。 (続きを読む…)

「需要サイド」への発想転換を  馬淵澄夫

 今まで、その存在に疑いすら抱かなかった、あるのが当たり前だった。
 それが失われたときに、多くの人々が動揺と混乱に陥る。
 それが社会システムであれば、家族の、自らの生活すら失うかもしれないという恐怖に襲われる。社会の混沌が生じる。この20年近く、我が国はこうした迷走低迷が続いている。高度経済成長の終わり、バブル景気の消失、終身雇用の崩壊、正規雇用の減少、消えた年金に始まる社会保障制度不安、そして原発事故で明らかになった電力供給の不安。 (続きを読む…)

日本人は魂を抜かれたのか  亀井静香


永田町の枠組みを超えた新政治勢力を!

―― 亀井さんは、野田政権の消費増税法案に反対して、連立離脱を表明したが、結局国民新党から離党するという結果になった。
亀井 政治家として国民との約束を破るわけにはいかない。二〇〇九年九月九日に成立した国民新党、民主党、社民党による三党合意は、「現行の消費税五%は据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担当期間中において、歳出の見直し等の努力を最大限行い、税率引き上げは行わない」と明記していた。そして、野田政権も国民新党と民主党との合意書で、この三党合意を尊重することを確認していた。 (続きを読む…)

利権化した政治を糺す  平野貞夫

政治の利権化が止まらない
―― 現在の政治状況をどう見ているか。
平野 政治家は国民の代表としての役割を果たすことを放棄し、官僚は露骨に利権を拡大しつつある。国会が全く機能しなくなっている現在の状況は、明治以来最悪のものだと言ってもいい。日本の議会政治は発足して120年で崩壊した。
 この遠因は、自民党・森政権にまで遡ることができる。森政権は、森総理を含む五人の自民党議員の談合によって誕生したものだが、談合で総理を決めるなどというのは議会民主政治を冒瀆する振る舞いだ。 (続きを読む…)

北朝鮮ミサイル発射 戦略なき日本の悲劇  菅沼光弘

日米ミサイル防衛の標的は中国だ
―― 北朝鮮の「人工衛星」発射、日本国内報道では長距離弾道ミサイル発射をめぐって、政府はPAC3を配備するなど、対応に追われた。
菅沼 別の言い方をすると、北朝鮮のミサイル発射を契機として、日米ミサイル防衛の合同演習が行われているということだ。
 状況を整理すると、北朝鮮側は「人工衛星を迎撃すれば、宣戦布告とみなす」と宣言している。すなわち、日本を軍事攻撃するとしているのだから、打ち上げられた「人工衛星」が日本国土に着弾する軌道を描かない限り、これをPAC3もしくはイージス艦搭載の迎撃ミサイル(SM3)で迎撃することはありえない。 (続きを読む…)

なぜ「青年」たちは決起したのか  本誌編集委員 中村友哉

五・一五事件より80年を迎える今日、我々は彼らが命を賭して提起した問いかけに、真剣に答えなければならない時期に来ている。

なぜ「青年」だったのか
 五・一五事件は「青年」によって決行された維新運動であった。青年将校・三上卓たちが首相官邸を襲撃して犬養毅を殺害し、橘孝三郎率いる愛郷塾の農村青年たちが変電所を襲って東京の停電を図った。
 事件の数年前に三上卓が「青年日本の歌」を創作したことからもわかるように、彼らは「青年」を自任し、「青年日本」を理想としていた。
 なぜ、それは「壮年」でも「老年」でもなく「青年」だったのか。「青年」とはいったい何を意味するのか。そこに、五・一五事件を読み解くためのカギがある。 (続きを読む…)

野田政権退場が日本を救出する唯一の道だ  植草一秀

正統性なき野田佳彦政権の暴走
 TPP、消費増税、原発再稼働は日本国民にとって、今後の命運を左右する重大問題である。方針決定に際しては、十分な論議を重ねたうえでの国民の決断が不可欠である。ところが、野田佳彦氏はこれらの重大問題を、個人の判断で決してしまおうとの言語道断の姿勢を示している。
 「命もいらず名もいらず、官位も金も求めぬ者は始末に困るものなり。この始末に困る者ならでは、艱難を共にし、国家の大業は為し得られぬ」とは、南洲翁遺訓にある言葉だが、これとは正反対の人間どもが日本の政治を乗っ取ってしまっている。 (続きを読む…)

ドストエフスキーとミシェル・フーコー  山崎行太郎


■ドストエフスキーの新訳『地下室の記録』を読む

 かつて『地下生活者の手記』(米川正夫訳)とか『地下室の手記』(江川卓訳)とかいう題名で訳され、「わたしは、病んだ人間だ……わたしは、底意地が悪く、およそ人に好かれるような男ではない。肝臓でも悪いのではないかと思う。」(亀山郁夫訳)というような奇妙な文章で始まるドストエフスキーの特異で、奇怪な作品があった。 (続きを読む…)

支那の歴史はプロパガンダだ!  西村眞悟

 本年二月(平成二十四年)、名古屋市長の河村たかし君が、名古屋市を訪問した中国の南京市の共産党幹部に、「南京事件はなかった」と発言した。すると、中国共産党や外務省が河村市長を非難し、中国の各マスコミも非難の合唱を始めた。そして、名古屋市へ中国人観光客を訪問させないと息巻いている。河村市長が、「南京事件はなかった」と発言したのは、彼の父親が兵隊として終戦直後の南京に滞在して南京の人たちに親切にしてもらった体験に基づき、度々市長が子供の時から、「南京事件などあるはずがない。あれば、南京市民があれほど日本兵に親切にしてくれるはずがない」と語っていたからだ。 (続きを読む…)

【書評】 自滅するアメリカ帝国

 恐らくそうなのだろうと考えていたことを、ズバリと言ってくれた。そんな爽快感を与えてくれる一冊である。著者の伊藤貫氏はアメリカ在住の戦略家で、アメリカ国務省や国防総省の官僚から入手した情報に基づいて重大な事実を暴露していく。
 一九八九年の冷戦終結に合わせて、ジェームズ・ファローズは「日本封じ込め」と題した論文を発表していた。当時、日本異質論者などと呼ばれた彼らの主張は日本でも注目されたが、アメリカ政府の考え方とは一線を画する異端者の論説として扱われていたように思う。 (続きを読む…)

【書評】 不愉快な現実

 今日、我々の生きる時代は帝国主義の様相を呈してきている。多くの国において景気が悪化し、人口が減少している中(中国も少子高齢化が急速に進んでいる)、数限られたパイの分捕り合いが繰り広げられている。世界各国は移民を増やして労働力を確保し、あるいは地域共同体を形成して資源や技術を囲い込もうとしている。EUやASEAN、ユーラシア共同体、そしてTPP、これらは全てそうした思惑に基づくものである。
 帝国主義時代を勝ち抜くためにはリアリズム的思考が必要となる。しかし、日本で外交や安全保障を論じたものにはその視点が欠落している。本書の著者はそう指摘する。彼らは「不愉快な現実」から目を背け、日本のおかれた外的情勢を客観的に分析しようとしない。 (続きを読む…)

月刊日本 4月号


―――目次―――
【巻頭言】赤子の泣くのは俺の心が泣くのだ  本誌主幹 南丘喜八郎

【永田町から 私の視点】 第一回 城内 実 「保守すべきものとは」

本誌編集部
餓死・孤独死を招く共同体の崩壊

【内政問題】
田村秀男   デフレ脱却と円高是正こそが急務だ!
山崎行太郎  なぜ橋下批判は空振りに終わるのか

【外交問題】
東郷和彦   プーチン新政権とケリをつけよ!
奥山真司   日米安保条約破棄に備えよ!
三浦小太郎  対北朝鮮外交の好機を逃すな!
山浦嘉久   彷徨えるユダヤ人
王 文洋   台湾に未来はあるか

【連載】
鈴木宗男   領土問題解決、ラストチャンスを逃すな!
三浦小太郎  出口王仁三郎と大本教弾圧
植草一秀   国民は「シロアリ退治なき消費増税」を支持するか
佐藤 優   『太平記』を読み解く 「新田義貞西国進発の事」
藤井厳喜   中国包囲網を形成する米国
尾崎秀英   伊福部 昭 リトミカ・オスティナータ
山崎行太郎  「波打ち際」の哲学と文学
落合莞爾   公武合体政権と京都皇統(5)

【書評】
これから50年、世界はトルコを中心に回る
いま本当に伝えたい感動的な「日本」の力
三獄誌 府中刑務所獄想録

価格:¥650(税、送料込)

赤子の泣くのは俺の心が泣くのだ  本誌主幹 南丘喜八郎

本誌主幹 南丘喜八郎

 平成二十三年三月十一日午後二時四十六分、マグニチュード九の巨大地震が東北地方を襲った。一気に一万数千人の命を奪い、海に呑み込んだ。原発事故は人々から住み慣れた住いを奪い去った。
 今も三千人を超える方々の行方が分からず、肉親は必死にその姿を捜し求めている。仮設住宅では孤独死、自殺者が後を絶たない。餓死者すら出ている。これが我が国の哀しい現実なのである。 (続きを読む…)

保守すべきものとは  城内 実

衆議院議員 城内 実

 私が郵政民営化法案採決で青票(=反対票)を投じてから六年半になろうとしている。その間色々なことがあった。詳しくは別の機会に譲るが、確実に言えるのは無用な政局のあおりを受けて善良な多くの国民がこれまで受けてきた当然の、かつ最高のサービスを受けられなくなってしまったことである。 (続きを読む…)

餓死・孤独死を招く共同体の崩壊  本誌編集部

餓死や孤立死の増加を招いた共同体の弱体化
 核家族化、近所づきあいの希薄化が進む中、生活に困窮したり、家族の介護を抱える家庭が孤立するなど、死に追い込まれる事件が各地で起きている。
 今年二月二十日には、さいたま市北区のアパートで、住人の六十代夫婦と三十代息子とみられる三人が餓死しているのが見つかった。室内に食料はなく、冷蔵庫も空っぽだった。家賃を滞納しガスと電気を止められていた。
 二〇〇六年には、福岡県北九州市門司区で二カ月間に三名の餓死者が出た。このうちの一件は、餓死した男性が生前に生活保護の受給申請に行ったにもかかわらず、市が申請書を交付せず、受付自体を拒絶していた。 (続きを読む…)

デフレ脱却と円高是正こそが急務だ!  田村秀男

産経新聞社編集委員兼論説委員 田村秀男

デフレが始まってから自殺者数は増加した
―― 野田政権は社会保障と税の一体改革を掲げ、消費税増税に踏み出そうとしている。
田村 現段階で消費増税を強行するのは、国民生活を破壊する思想だと言わざるを得ない。
 年間自殺者数は三万人を超えているが、その中で若者が占める割合が増加している。警察庁の発表では、「学生・生徒」の自殺者数が、統計をとりはじめた1978年以来、初めて千人を超えた。 (続きを読む…)

なぜ橋下批判は空振りに終わるのか  山崎行太郎

文藝批評家 山崎行太郎

知識人による橋下批判の愚かしさ
―― 橋下徹大阪市長に対し、複数の知識人たちがその政治手法を、ファシズムを連想させる「ハシズム」として批判した。しかし、1月28日放送『朝まで生テレビ』(テレビ朝日、以下『朝生』)で見られたように、橋下市長と知識人との対決は、橋下市長の圧勝と見られている。
 今回は、橋下市長の政治手法ではなく、橋本市長への熱狂の意味するもの、そして、それに対する知識人の批判がなぜ無力なのか、いわゆる橋下現象とは何なのかをお尋ねしたい。
山崎 橋下市長を批判した知識人、たとえば山口二郎氏(政治学者)や香山リカ氏(精神科医)、内田樹氏(思想家)等 の批判それ自体は、それなりの正当性があるものではある。しかし、そうした知識人の批判は橋下市長によって「学者さんは現場を知らないからそういうことを言える」という一言で退けられ、橋下市長への拍手喝采が高まるというのが基本構図だ。 (続きを読む…)

プーチン新政権とケリをつけよ!  東郷和彦

元外務省欧亜局長 東郷和彦

プーチンの涙が意味するもの
―― 3月4日に行われたロシア大統領選挙の結果、プーチン首相が再び大統領へと返り咲いた。支持者の前で勝利宣言を行っている最中、プーチン首相が思わず涙を流すという場面も見られた。
東郷 多くの方々が述べているように、プーチン首相が大統領選に勝利したことは驚くにあたらない。それは大方の予想通りである。しかし、あの涙を予想できた人はいないのではなかろうか。 (続きを読む…)

日米安保条約破棄に備えよ!  奥山真司

地政学者 奥山真司

 大統領選挙を控えたアメリカはいま、外交戦略の大きな転換期に差し掛かっている。それを象徴的に示しているのが、リアリスト系国際政治学者クリストファー・レインの唱えるオフショア・バランシングという大戦略のアイディアの台頭であり、それはアメリカからの日米安保破棄要求をもたらす可能性すらある。レイン著『幻想の平和』の翻訳者で、欧米の地政学、戦略論に精通した奥山真司氏に、アメリカの外交戦略に何が起きているのかを語っていただいた。

オフショア・バランシングは一九世紀英国外交の再来だ
―― クリストファー・レインはアメリカの外交戦略がどうあるべきだと主張しているのか。
奥山 レインらのリアリストが手本としているのが、一九世紀のイギリスの外交戦略だ。当時イギリスは覇権国だったが、自国に対して脅威になる国の出現を防ぐために、ヨーロッパ大陸に対して一歩引いた立場に立ち、巧みな勢力均衡(バランス・オブ・パワー)外交を展開した。ある国を支援して別の国とぶつけさせ、相討ちさせることによって、両国の力を相殺させたり、関係を分断したりするという政策だ。 (続きを読む…)

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