乙骨正生 創価学会も共謀罪の対象になる

安倍政権は公明党に圧力をかけるか

 東京都議選は都民ファーストの圧勝に終わりました。これは都議会公明党が都民ファーストと選挙協力したことも大きかったと思います。

 安倍政権や自民党は、公明党に対して強い不満を抱いているはずです。今後、安倍政権は報復として、公明党に様々な方法で圧力をかけていく可能性があります。その際には、先ごろ成立した共謀罪も利用されるかもしれません。

 ここでは、弊誌7月号に掲載した、創価学会に詳しいジャーナリストの乙骨正生氏のインタビューを紹介したいと思います。全文は7月号をご覧ください。

創価学会が権力にすり寄る理由

―― 創価学会は戦前に治安維持法で弾圧された経験があるにもかかわらず、共謀罪に反対していません。その理由はどこにあると考えられますか。

乙骨 ご指摘のように、創価学会の前身である創価教育学会は、治安維持法と不敬罪違反容疑によって幹部21人が検挙されています。初代会長の牧口常三郎や、後の二代会長である戸田城聖も逮捕され、牧口は獄中死しています。

 こうした歴史的経緯から、池田大作名誉会長は治安維持法を「稀代の悪法」と批判し、創価学会の平和主義の原点は戦前の軍国主義との闘争にあると強調。これを創価学会は、自らの社会的レゾンデートル(存在理由)、宗教的正当性の根拠のひとつと位置づけてきました。

 しかし、いまや創価学会のレゾンデートルは崩壊しつつあります。というのも彼らは特定秘密保護法や安保法制、共謀罪に賛成し、憲法についても「加憲」が必要だと言い出していますが、それらの言動はこれまでの政治的主張と矛盾・背馳するからです。

 創価学会変節の最大の要因は、創価学会の不正行為に起因します。創価学会は平成2年から4年にかけて、国税庁の税務調査を受けましたが、税務調査に仰天した創価学会は、大物議員の力を借り、国税庁長官や幹部らに水面下で交渉・工作して税務調査を妨害。今後の税務調査を免れるために自公連立政権に舵を切ったのです。

 宗教法人は税制上の優遇措置を受けています。税制上の特権を受けているにもかかわらず税務調査を妨害するなど悪質としかいいようがありません。

 創価学会はその他にも、言論出版妨害事件や盗聴事件、名誉棄損事件など、数々の違法行為・不法行為を繰り返してきた事実があります。これらは宗教法人の適格性にかかわる問題です。

 宗教法人法では、宗教法人が違法行為を犯し公共の福祉を害した場合は、裁判所が解散を命令できると規定しています。それゆえオウム真理教は解散させられたのですが、税務調査を妨害する教団に宗教法人としての適格性があるとはとうてい思えません。

 創価学会が自公連立を選択し、従来の政治的主張を放擲してまで安倍政権に擦り寄るのは組織防衛のためです。彼らは組織防衛のために、時の政治権力の下僕となる腹を決めたのでしょう。

 実際、集団的自衛権の行使容認について公明党が難色を示していた時、内閣官房参与の飯島勲氏が公明党と創価学会の関係について、憲法の政教分離原則に反しないとしてきた従来の政府見解を見直す可能性に言及したところ、公明党はあっという間に態度を変え、安倍政権の方針に従いました。ここからも、彼らが保身しか考えていないことは明らかです。

創価学会も共謀罪の対象になる

―― 共謀罪をめぐっては警察による盗聴の拡大が懸念されています。創価学会も共謀罪の対象とされ、盗聴の対象になる可能性もあるのではないですか。

乙骨 もちろんです。先ほど述べたように、創価学会は過去に様々な違法行為や不法行為を繰り返しており、憲法上の政教分離問題もあるのですから、創価学会が共謀罪の対象になることは十分考えられます。

 戦前の治安維持法も最初は共産主義者を対象としていましたが、その後、大本教や創価教育学会など宗教団体まで適用範囲が広がっていきました。彼らはこうした歴史の教訓に意図的に目をつぶっているのでしょう。……