日本はAIIBに参加するのか

なぜいまAIIBなのか

 自民党の二階俊博幹事長が香港フェニックステレビの取材に応じ、中国主導の国際金融機関アジアインフラ投資銀行(AIIB)への日本の参加について「可能性もある」と述べました。また、二階氏は5月に北京で開催される「一帯一路」国際フォーラムに出席する予定で、安倍晋三首相から習近平国家主席にあてた親書を届けることも検討しているようです(4月29日付産経ニュース)。

 このタイミングでAIIB参加の話が持ち上がってきたのは、北朝鮮問題に対処するためだと思います。安倍政権はAIIBを理由に中国との対話を増やし、北朝鮮問題の解決策を探ろうとしているのでしょう。

 ここでは、弊誌2015年8月号に掲載した、二階俊博議員のインタビューを紹介したいと思います。なお、ウェブサービスnoteにご登録いただくと、このインタビューの全文を100円で読むことができます。noteの登録は無料です。是非お試しください。




たとえ「媚中派」と言われようとも

―― 二階議員は中国で習近平国家主席と会談されました。一部では事前の予想として、習主席は会談に応じないのではないかとも言われていました。

二階 私は3月に海南島で開催された、福田康夫元総理が理事長をしているボアオ・アジア・フォーラムにお招きいただき、パネラーとして医療問題や健康問題について発言しました。その時習近平国家主席もお出でになっておられたので、私は「今度、日中友好を熱心に進めている3千人の同志たちと一緒に訪中することになっている。これは人と人との交流、特に民間の人たちの交流だ。習主席にも協力してもらいたい」と言いました。習主席からは「日中間の人民の相互交流は大変大事なことなので協力します」と、明快なお答えをいただきました。

 そのため、私は5月の訪中時には必ず習主席にお会いできるだろうと確信していました。しかし、これは誰にも言いませんでした。今回3千人の方々にご一緒していただきましたが、「習近平さんがお出でになるからご一緒しませんか」という呼びかけは一切しませんでした。

 それは、あれだけの国のトップリーダーですから、国際的な問題も含めて何か起これば来られなくなることだってあるからです。また、「主席がおいでになるから来たらどうだ」というような、看板で人集めをするようなことはすべきではないと思っているからです。私は過去5回訪中しましたが、一度もそうしたことはしておりません。

 少し気の早い人は、習近平国家主席が出て来ないなら行っても仕方がないということで、訪中の参加申し入れはあったものの実際には来なかった人もいたようです。3千人もお見えになるわけですから、色んな目的や考えを持った方がいます。それについて気にする必要はないと思っていますし、我々の方から特に意見を述べることもありませんでした。

―― 最近、日本では排外主義的言説が強くなっており、二階議員を「媚中派」と揶揄する声もあります。

二階 そんなことは過去に何回か言われておりますから気にもしていませんが、「そんな偉そうなことを言うなら自分で行ってらっしゃいよ」と申し上げたい。

 我々は誰の力も頼っていません。3千人の人たちと一緒に訪中するといっても、政府に協力を求めたわけではありません。また、皆一人一人が自分の旅費をご自身で負担いただいています。なぜそうするかと言うと、誰かの力を借りてやると正しい結果は出ない、真実の味は出て来ないからです。

 ですから、媚中派と言われようが何と言われようが、そんなことはなんでもありません。「言っているあなたが恥ずかしいでしょ」と言ってあげたいくらいです。……