加計学園問題をこのまま終わらせるな
安倍政権は森友学園問題と同様、加計学園問題に関しても、同じような答弁をひたすら繰り返し、真相解明から逃げてきました。そのため、国民は加計問題についても食傷気味になりつつあるように思います。しかし、加計問題をこのまま放置すれば、日本社会の倫理や道徳は完全に崩壊します。加計問題をこのまま終わらせず、しっかりと真相を明らかにしていかなければなりません。
ここでは弊誌7月号に掲載した、元東京地検特捜部検事の郷原信郎氏のインタビューを紹介します。全文は7月号をご覧ください。
加計理事長は辞任せよ
―― 加計学園側は「当時の担当者が実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出し、県と市に誤った情報を与えてしまった」として、面談の事実を否定しています。
郷原 加計学園事務局長の渡辺良人氏は「その場の雰囲気でふと思ったことを言った」と述べていましたが、愛媛県文書によれば、加計学園側で中心となって動いていたのは渡辺氏です。事務局長は学園事務局のトップであり、理事長である加計氏から直接指示を受けて動く立場にあります。そのような人物が安倍首相と加計氏の面談の事実をでっちあげ、それを加計氏が知らなかったとは到底考えられません。渡辺氏は加計氏から「紛らわしいことは言うもんじゃない」と叱責されたと言っていましたが、そんな話が通るはずがありません。
この面談が嘘だったとすれば、加計学園は愛媛県を計画的に騙したということになります。安倍首相は国会で加計氏について、「彼が私に対して私の地位や立場を利用して何かを成し遂げようとしたことはただの一度もない。獣医学部新設について働きかけや依頼は全くなかった」という答弁を繰り返してきましたが、この安倍首相のストーリーは根底から崩れます。
仮に加計学園の言い分が事実だったとすれば、愛媛県や今治市が加計学園に交付する補助金に影響が生じることは避けられません。補助金は住民の血税によって賄われています。そのため、嘘をつくような学校法人に補助金を出し続けてよいのかということが問題になります。また、加計学園に通う学生やその親も、多額の学費を支払っている学園が健全な教育活動を行っているのかどうか疑問に感じるはずです。
いまさら設置済みの獣医学部を潰せないのであれば、加計氏は責任をとって理事長を辞任すべきです。また、加計学園の誰がどのような理由で背信行為を行ったのか、記者会見なり国会なりで納得のいく説明をすべきです。
―― 現在のところ加計学園には一連の経緯について説明しようとする姿勢が見られません。
郷原 加計学園側にも色々な資料が残っているはずだから、真相解明に取り組むことはそれほど難しいことではないはずです。しかし、彼らはその努力を全くしていません。真相を明らかにすれば、安倍首相と加計氏の面談があったことがわかってしまうからでしょう。そのように見られても仕方ありません。
―― 安倍政権にも真相解明に取り組もうとする姿勢が見られません。
郷原 安倍首相が加計学園の獣医学部申請を知った上で、国家戦略特区諮問会議で獣医学部新設を含む規制緩和に関する議論を進めるように指示したとすれば、贈収賄に当たるかどうかは別にして、加計学園に職務上便宜を図ったことが否定できなくなります。だから安倍首相は、獣医学部新設についてずっと後まで知らなかったと言い張るしかないのでしょう。国会が閉会すれば追及の場もなくなるので、そこまで、どんなに批判されてもごまかし続けて逃げ切ろうとしているのだと思います。……