(前略)
―― 新政権では、様々な分野で新自由主義路線が強まる可能性がある。
稲村 小泉政権がアメリカの年次改革要望書に追従する形で新自由主義を推進したように、新政権が対米従属を強めて、アメリカの要求に屈することを阻止しなければならない。対米自立の姿勢を欠いたまま、自民党は「日米同盟の強化」を、日本維新の会は「日米同盟の深化」をそれぞれ掲げている。
経済政策を見ると、自民党は政権公約で「大胆な規制緩和」と題して、「戦略分野ごとに企業の活動のしやすさを世界的先端にするための『国際先端テスト』を導入し、国際比較した上で規制などの国内の制度的障害を撤廃します」と謳った。新政権が再び小泉・竹中路線に回帰する危険性があるのだ。
特に気になるのが、日本維新の会の政策だ。当初から橋下氏には新自由主義的な色彩が強かった。例えば、菅政権発足まもなくの二〇一〇年六月八日、橋下氏は「僕は競争を前面に打ち出して規制緩和をする小泉・竹中路線をさらにもっと推し進めることが今の日本には必要だと思っている」と明言している。
日本維新の会は、「前例と既得権益に縛られない大改革(グレートリセット)」というような口当たりのいい表現を用いて、新自由主義的政策を全面に打ち出している。一体どこの国のための政策なのかといいたくなるような項目ばかりが並んでいる。
まず、「維新八策」には、「競争力を重視する自由経済」、「イノベーション促進のための徹底した規制改革」、「TPP参加、FTA拡大」、「教育バウチャー(クーポン)制度の導入」、「民民、官民人材流動化の強化徹底した就労支援と解雇規制の緩和を含む労働市場の流動化」といった項目が掲げられている。
この「維新八策」の理念を政策面から再整理し、国民に明確にするために作成したのが、「骨太二〇一三─二〇一六」である。小泉政権と同じ「骨太」という表現がすべてを物語っているのではないか。ここでは、政策実例として「混合診療の解禁」や「保育バウチャー制度の導入」なども盛り込まれている。さらに、当初日本維新の会は政権公約として「最低賃金制の廃止」を謳っていた。結局、「市場メカニズムを重視した最低賃金制度への改革」に改められたというが、社会の根幹に関わる規制にまで踏み込もうとしている。……
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