森友問題に飽きてはならない
森友問題が発覚してからすでに1年以上が経過しました。この間、メディアや野党は森友問題を追及してきましたが、安倍政権は同じような答弁を繰り返し、逃げ続けてきました。こうしたことが続いた結果、国民は森友問題に飽き始めてしまったように見えます。しかし、ある意味ではそれこそが安倍政権の狙いです。ここで森友問題の追及をやめてしまえば、安倍政権の思うつぼです。我々は今後も飽くことなく追及を続けていかなければなりません。
ここでは弊誌7月号に掲載した、著述家の菅野完氏の論考を紹介します。全文は7月号をご覧ください。
財務省がいまだに口をつぐんでいること
今年5月下旬から6月上旬にかけ、財務省は次々と森友関連文書を公開し始めている。籠池氏の証言が真実であったことは、これらの資料で明らかになってきたのだが、注目すべきは、この期に及んでもまだ財務省が嘘をつき続けていることだろう。
例えば、籠池氏が証人喚問で語った「昭恵夫人と一緒に撮影した写真を提示してから、財務省側の態度がかわった。神風が吹いた」という証言がある。財務省側はここ数週間で3千ページに近い資料を公開し、前出の田村審理室長との面談音声データを裏付ける交渉記録なども開示しているが、なぜかこの「森友学園側が安倍昭恵の写真を財務省に提示した日」の交渉記録だけは、いまだに開示されていない。
さらには、財務省の報告書が公文書改竄の契機の一つとなったと認める、昨年2月17日の「私や私の妻や私の事務所が関与していたら、総理も議員も辞める」との安倍晋三首相答弁の直後から、籠池氏が記者会見を開き私学設置認可を取り下げると表明した昨年3月10日までの交渉記録は一切出ていない。
籠池の証言は財務省自らが公開した資料によって、そのほとんどが真実であったことが立証された。政府をあげて嘲笑し、バカにしてきた籠池氏の証言が正しかったことを、政府は恥を忍んで認めたのだ。
しかしいま振り返ったように、その政府がいまだに口をつぐみ、資料の公開に応じないポイントが2つ存在する。――森友学園が財務省サイドに安倍昭恵夫人の写真を提示した日の交渉記録と、安倍晋三が「私や私の妻や私の事務所が関与していたら、総理も議員もやめる」と答弁した直後から森友学園による私学設置認可断念に至る約半月間の交渉記録、この2種類だけ、いまだに財務省は口をつぐむのだ。こうなれば、もはや財務省があらゆる恥辱を忍びながらも守っているものは明らかであろう。
森友事件とは、決して、籠池夫妻という珍妙な夫妻によって引き起こされた事件ではない。国政を1年以上にわたって揺るがすこの事件の「主犯夫妻」は、籠池夫妻ではなく、安倍晋三・安倍昭恵夫妻、あなたがた二人だ。