亀井静香 亡国を食い止めよ

緊迫する北朝鮮情勢

 北朝鮮情勢が緊迫しています。アメリカのティラーソン国務長官は武力行使に踏み切る可能性を示唆しており、そうなれば日本も無関係ではいられません。我々はトランプ政権とどのように付き合うべきかということを、真剣に考える必要があります。

 ここでは、弊誌4月号に掲載した、衆議院議員の亀井静香氏のインタビューを紹介したいと思います。全文は4月号をご覧ください。

「新鎖国主義」のススメ

 皆さん、今しかし、地球の地軸がどうにかなったんじゃないですか。どうも妙な感じがしますね。このちっぽけな宇宙の中の砂粒にすぎない惑星に人類が住みだしてから何十万年、「もっといい生活がしたい」「もっと便利な生活がしたい」という欲望を追い求めていった結果、もうこの地球に人類が住み続けることができなくなるんじゃないかという事態にまで追い込まれつつあります。

 そういう状況の中で、再び大国同士のエゴが激しくぶつかり合う時代が来た。習近平、プーチンという独裁的な指導者が現れて、さらにトランプという怪物まで現れた。トランプは「時代の子」です。アメリカでは2~3%の超富裕層がほとんどの富を独占しているから、大多数の国民が現状打破を望んでいる。この時代の流れがオバマ大統領を生み出し、今またトランプ大統領を誕生させたんです。

 先日、安倍総理はトランプに会いに行って仲良くやりました。しかし両首脳が友好的だったから、あたかも日米関係がうまくいくと考えたら大間違いだ。全然別の話なんです、これはね。だから我々は現状打破を使命とするトランプが何を突きつけてくるか、相当な覚悟をしないといけない。

 まず農業です。もっとアメリカの農産物を買え。これはグングンくる。トランプはTPPではまだ甘いと考えているから、TPP以上にきつい要求に出ることは間違いない。自動車もそうです。販売店でアメ車を売れるようにしろとか、車検制度を廃止しろとか言われるでしょう。私が大臣の時も車検制度の廃止を求められた。バーンと跳ね返したけどね、アメリカと日本の外務省が一緒になって私に物凄いプレッシャーをかけてきましたよ。必ずまた同じことを言ってくる。

 それ以外にもありとあらゆる分野が攻められる。簡単に言うと、日本はアメリカに対して輸出超過だから、もっとアメリカのモノを買え、そのためにもっと都合の良い制度に変えろということですね。トランプは下手な鉄砲を振り回して日本を脅しに来る。それならばピストルを抜かせる暇も与えずに日本刀を突きつければいい。それくらいじゃなきゃ勝負にならんですね。

 私は「新鎖国主義」だと言っています。トランプがアメリカの戸を閉めてエゴを剥き出してくる中で、日本だけが戸を開けて「どうぞご自由に」というわけにはいかない。だから日本は円安の輸出に頼る外需重視の経済じゃなくて、1億3000万の内需重視の経済に転換すべきです。それには所得を増やす。金持ちが大金持ちになったって消費は高が知れています。やはり庶民のフトコロを温かくする。日本で作って日本で消化する。そういう形で経済を循環させればいい。世界世界と言わないで、まず日本で出来ることからやろう、その上で世界に目を向けながらやっていこうということです。

日米安保で国が守れるか

 しかし今の政治では心許ない。それはね、日本はアメリカに守られているという潜在意識があるからなんです。アメリカあっての日本だという気分から抜け出ないんですね。日米安保は他国の日本侵略を抑止する大きな支えになっているという。しかし日本がいざ侵略を受けた場合、アメリカが血を流して日本を守ると思いますか。

 こないだ国防長官が日本にやってきて、沖縄尖閣はじめ日本が攻撃されたら守ると言いましたね。当たり前ですよ。日米安保でそうなっているんだから、条約の字面を読むなんて何でもないことです。それと有事の際にアメリカが日本を守るかどうかというのは、全く別の問題です。約束通り日本を守るかどうかは、それがアメリカの国益に合うのか合わないのかの判断で決まるだけの話なんです。

 アメリカの判断次第でどうにでもなる日米安保に、我が国の防衛を任せるわけにはいかん。やはり我々自身がこの日本を守り抜く、そのためにどうすべきかという腹を据えなければなりません。……