橘秀徳 国家主権と国益を守る法整備を

 一昨年九月の尖閣中国漁船衝突事件を契機に、「尖閣は領土問題に非ず」との共通認識の下、超党派「国家主権と国益を守るために行動する議員連盟(主権議連)」を結成し、私は事務局長に就任した。翌十月には沖縄県知事、市長、八重山漁協との会談、尖閣諸島の上空視察を行った。又、私自身は昨年十二月に、党訪中団副団長として、共産党・軍関係者と意見交換する機会も得た。主権と国益を守るために何を為すべきか、私なりの考えをこの稿でお示ししたい。

中国と尖閣問題をどう見るか

 ①パラセル(西沙)諸島の戦い(七四年)と②スプラトリー(南沙)諸島海戦(八八年)では、いずれもベトナム支配下の島嶼に中国軍が上陸、占領し、ベトナム側は数十名の死者を出した。②では同じ社会主義国家を海洋権益の為に攻撃した。帝国主義そのものだ。中国が主張する南シナ海の境界線は、巨大なスプーンで周辺諸国の海洋資源を丸ごと喰わんとするように、はるか南に抉る線を引く。

 中国「近海積極防衛戦略」では、①二〇〇〇年までに、第一列島線(沖縄、台湾、フィリピン等を結ぶ線)内の支配権を確立 ②二〇年までに第二列島線(伊豆諸島からグアムに至る線)内、西太平洋の支配権を確保 ③四〇年までに太平洋全域での米軍の独占的支配を打破、としている。一九九二年には領海法で、尖閣諸島を含む第一列島線内側は中国領とした。燃料代が高い中、三百km以上離れた尖閣諸島での漁に来る中国漁船はいかにも不自然だ。公権の後ろ盾や計画性を感じざるを得ない。

以上を踏まえ、二つのことを提案したい

一.中国に対抗する「合従」策

 「合従」策は、戦国時代に、趙・魏・韓・燕・斉・楚の六ケ国が連合して、強国の秦に対抗した策である。ある国が、中国との二国間交渉で不利な条件を呑まされた。しかし、日本等が入っての多国間交渉では、同じ国が国益に沿う交渉結果を中国から得たという。日米同盟を基軸としつつ、東南アジア、インド等諸国と「合従」する道を探りたい。……

以下全文は本誌12月号をご覧ください。