亀井亜紀子 男たちよ、行動せよ

国民を裏切る三党合意

 二〇〇九年の総選挙で政権交代に期待し、二〇一〇年の参議院選挙で消費税反対の意思表示をした国民は、永田町に怒りの目を向けているに違いない。

 それは中東のジャスミン革命に対して紫陽花革命と命名された官邸前のデモを見れば明らかである。ツイッターやフェイスブック等のソーシャルメディアを通じて、どこからともなく集まってくる人、人、人……おそらく今まで政治行動など起こしたこともない普通の人々が、自発的に動いているのだ。日本に初めて本当の意味での民主主義が生まれようとしている。それほどまでに三・一一と原発事故が日本人に与えた影響は大きかった。

 民自公の三党は永田町の外の空気に余りにも鈍感ではないか。原子力規制庁は国会事故調査委員会の提言を無視して設置、原子力ムラの人間を規制委員会に送って原発再稼働を急ごうとしている。消費税法案も可決され、結論に至る核心部分は野田総理、谷垣総裁の密室談合なので見えない。三党合意とは実質大連立であり、国の重要政策が国民不在で決められている。政権交代を選んだ国民の期待は見事に裏切られ、行き着いた先は皮肉なことに戦前と同じ大政翼賛会だった。

財務省が国を滅ぼす

 二年半、政権の近くにいてはっきりとわかったことがある。この国は財務省に操られているのだ。

 例えば未曾有の大震災が発生して被災者を助けたいと思っても、財務省が復興増税を決めるまで金を出さない。原発被災者を助けたいと思っても、補償は東電に押しつけて財布の紐を閉じる。被災地で懸命に救助にあたる自衛隊員の給与を削ろうとする。景気対策を打たなければいけない時に増税を主張する。国際会議で総理に消費増税を約束させる。国内では財政危機を煽りながらIМFには気前よく資金提供する。当然、諸外国は日本が財政危機だとは思っていないし、だから円は高くなる。本来、国内に投資されるべき国民の預貯金は、欧州経済危機や米国経済を支えるために海外に流出しているのだ。

 東日本大震災直後、NHK日曜討論に出演したが、補正予算の規模は十兆円、建設国債の発行も当然であるという感覚的な合意が各党間にあった。ところが財務省はあろうことか震災を増税に利用し、予備費の四兆円しか出さなかった。当面、瓦礫処理しか出来ないからということだった。

 次は決算剰余金で誤魔化し、結局、三党合意で復興増税が決まる秋まで復興を大幅に遅らせてしまった。そして本来、建設国債で対応すべき防災・減災対策は、今回成立した消費税法案に書き込まれ、消費税は公共事業にも使えることになった。

 千年に一度の大震災を目前にして、復興増税、消費増税、電気料金値上げの旗振り役を務める財務省は明らかに異常である。しかも日本はデフレ不況から抜け出せずにいる。財務省に物申せず、一体となった菅政権、野田政権の罪は重い。このまま放置すれば冗談ではなく財務省が国を滅ぼすだろう。……

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