亀井静香 戊辰戦争はまだ続いている

―― 亀井さんは靖国神社に西郷隆盛ら「賊軍」を合祀するように主張されてきました。この度、亀井さんは靖国神社にその申し入れをされました。

亀井 日本はもともと和の文化の国であり、みんなで助けあってみんなで幸せになっていくという考えを持っていました。ところが、戊辰戦争や西南の役などで政府に敗れた人たちは「賊軍」とされ、靖国神社にお祀りされなかった。

 確かに西郷南洲らは時の権力と対立したかもしれない。しかし、それはお互いに国造りについて意見が違った、立場が違ったというだけの話であって、日本を思う気持ちは同じだったはずですよ。彼らがいたからこそ、今の日本はあるんですよ。それなのに、官軍側で犠牲になった方々についてはお祀りをし、官軍に敗れて亡くなった方々は無視するというのは、歴史の正しい見方じゃないと思います。死者についてまで差別するというのは、和の文化に反することです。

 これは靖国神社宮司の徳川康久さんもおっしゃっていることです。徳川さんも私と全く同じで、賊軍、官軍と区別するのはおかしいと。だからあの方は賊軍、官軍ではなく、東軍、西軍という言い方をしておられるんですよ。

 平成31年は靖国神社創設から150年の年です。この際にきちっと過ちを正さなければならんと思っています。おかげさまで大勢の方々からご賛同をいただきました。中曽根、村山、森、福田元総理や綿貫、伊吹議長経験者及び伊藤淳二さん、稲盛和夫さん、岡村正さんなどの財界人と、宗教界では小松玄澄善光寺貫主や平井正修全生庵住職など、それに100名を超す現・元国会議員、平沼赳夫さんや島村宜伸さんなど日本会議国会議員懇談会の方々からもご賛同をいただいています。安倍晋三総理にも趣意書をお渡ししましたが、「その通りですね」といった表情をされていました。

 靖国神社崇敬奉賛会には「賊軍」の合祀に反対する意見もあると聞いています。ただ、奉賛会の意見が全てではありませんし、最終的に決断するのは宮司ご自身です。私は10月12日に石原慎太郎さんと原口一博さん、平沢勝栄さんの四人で靖国神社に申し入れを致しましたが、是非とも宮司には正しい決断をしていただきたいと思っています。

―― 和の文化を疎かにして人々を区別するようになれば、日本人はバラバラになってしまい、いざという時に力を発揮できないと思います。

亀井 まさにそういう状況が生まれています。これは格差の問題もそうでしょう。今の日本経済では、力が強い者が弱い者を食んで、さらに富の蓄積をしていくということが主流になっています。しかし、新自由主義は日本の文化と縁のない、和の文化の対極にあるものですよ。こういう状況を変えていかなきゃなりません。

 安倍晋三総理も私と同じような気持ちであることは間違いないですよ。ただ、現実には政策がその逆になっている面が多々あるから、私はそういうものはちゃんと正しなさいよと言っておるわけです。

 それから、格差というのは東と西の間にも見られます。日本では西の方が豊かで、東の方が相対的に貧しい。行ってみればわかりますよ。だからこの間の参議院選挙でも、東北では野党が勝ったんですよ。そういう意味では、戊辰戦争はまだ続いているということですよ。

 和の文化は日本だけでなく世界にとっても必要なものです。今、世界中でエゴとエゴがぶつかり合い、あちらこちらで戦乱が起きています。そういうことに対して、日本は和の文化を発信し、世界中が戦争しないで幸せになっていこうと訴えていかなきゃなりません。これは総理が率先してやらなきゃならんことです。……

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