FBIに暗黙の了解を与えたオバマ

なぜFBIはヒラリー捜査に踏み切ったのか

 アメリカ連邦捜査局(FBI)がヒラリーの捜査を再開したことを受けて、トランプの支持率とヒラリーの支持率が逆転するという事態になっています。選挙期間中に捜査を行えば、支持率に影響を与えるのは当然です。FBIもそれをわかった上で行ったと考えるべきです。
 
 もっとも、FBIも国家機関である以上、時の権力の意向に完全に反した行動をとることはありません。それは、FBIが最初にヒラリーに任意で事情聴取を行った時のことを考えればわかります。あの時期、ヒラリーは大統領選の民主党候補になるだろうと言われていましたが、まだ候補に確定していたわけではありませんでした。このような時に事情聴取が行われれば、ヒラリーの立場が揺らぐことは避けられません。

 これに対して、オバマ大統領はその気になればFBIの動きを封じることができたはずなのに、何か具体的な行動をとった形跡は見られません。それはおそらくオバマとヒラリーの関係が良くなかったからだと思います。ヒラリーは民主党候補になるために、オバマ時代からの転換を図っていました。それがオバマにとっては気に食わなかったのでしょう。オバマが明確な動きを示さなかったことで、FBIはオバマから暗黙の了解を得たと考え、捜査に乗り出したのだと思います。

 しかし、民主党が内ゲバを繰り広げている間に、共和党ではトランプが勢いをつけてきました。そのため、オバマとしては、いくらヒラリーが自分の政策を転換しようとしているとはいえ、それでもトランプよりはましだと考えたのでしょう。そこで、ようやく重い腰を上げ、ヒラリーを守るようになった。その結果、FBIの動きは一時的に止まったということだと思います。

FBIと東京地検特捜部

 それでは、FBIはなぜ今になって再び動き出したのでしょうか。もしヒラリーが大統領になれば、彼女は仕返しにFBI内部に手を突っ込むでしょうから、FBIとしても覚悟の上での行動なのだろうと思います。オバマがFBIを抑えられなくなったこと、FBI内にトランプ支持派がいること、世論の後押しがあることなど、様々な可能性が考えられます。今は大統領選挙期間中であるため、いわば権力の空白状態が生じています。従うべき権力が空白状態なわけですから、彼らはかなり自由に動けるようになったということなのかもしれません。

 もう一つ考えられる可能性としては、FBIが暴走していることです。捜査機関というものは、時に正義感に駆られて暴走するものです。それは日本の東京地検特捜部を見れば明らかです。元参議院議員の平野貞夫氏が『田中角栄を葬ったのは誰だ』(弊社刊)の中で詳しく書かれていますが、特捜部は田中角栄逮捕のために幾重にも無理を重ねています。現在のFBIの意図を読み解く上でも参考になると思いますので、是非ともご一読ください。

 また、本日20時より、下北沢の本屋B&Bにて、「田中角栄とは何者だったのか? 〜田中角栄とロッキード事件」というイベントが開催されます。登壇者は、平野貞夫氏と、『秘密解除 ロッキード事件』(岩波書店)の著者である朝日新聞編集委員の奥山俊宏氏です。昨今の田中角栄ブームとはひと味違った対談になると思います。是非ともご参加ください。(YN)

■「田中角栄とは何者だったのか? 〜田中角栄とロッキード事件」■
出演者:平野貞夫(元参議院議員)奥山俊宏(朝日新聞編集委員)
期日:11月2日(水)19時30分開場 20時開演
場所:本屋B&B 東京都世田谷区北沢2-12-4第2マツヤビル2F
主催:本屋B&B(TEL:03-6450-8272)
入場料:1500円+1ドリンク

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