石川知裕 検察審査会は検察の道具だ

―― 小沢氏の陸山会をめぐる裁判は、二審も無罪判決が出た。この裁判では石川議員の「取り調べ録音テープ」が大きな役割を果たした。2010年5月17日、検察審査会の一回目の起訴相当議決を受け、任意で石川氏を取り調べた田代政弘特捜検事(当時)が、石川氏の供述を捏造した虚偽報告書を検察審査会に提出した。

石川 私が田代検事の取り調べを録音していなかったら、小沢氏は確実に有罪にされていただろう。検察が被告に不利な証拠を偽造して、検察審査会を誘導し、起訴相当議決へ持ち込むという、検察の犯罪を暴くことができた。

 検察にとってベストなのはもちろん、検察自らが起訴することだ。しかし、公判を維持するに十分な証拠がなかったので、公文書偽造罪を犯してまで検察審査会を用いて起訴させた。検察の狙いが小沢一郎という政治家を抹殺することだとすると、その目的はかなり達成されている。

 有罪を取れないまでも、小沢氏にクロのイメージを与えることができるし、公判中は小沢氏の政治活動に制限を加えることができる。実際、この三年間、小沢氏は座敷牢に閉じ込められていたようなものだ。

 だが、自ら信ずる正義を実現するためには犯罪に手を染めても良いという、検察の歪んだ司法行政が許されてはならない。

―― 汚れきった魂を救済するために殺人を正当化したオウムと同じ種類の邪悪さが検察を蝕んでいる。

石川 実際、検察は検察審査会を自分たちでどうにでも誘導できる道具と考えていたフシがある。私が2010年1月15日に逮捕され、取り調べにも疲れ果てた2月1日のことだ。私を取り調べていた吉田正樹特捜副部長は執拗に、「水谷建設から5000万円貰っただろう」と迫ってきた。「貰っただろう」「貰っていません」「じゃあ、預かっただろう」「預かってもいません」という問答が延々と繰り返される。いわば北風政策で攻めてくる。それが突然、太陽政策に変わる。

 猫なで声で、「もうすぐ参院選だよね。その前にすっきりさせたほうがいいんじゃないか。そのまま否認していると泥仕合になるよ。どうせあなたが否認したところで、検察審査会に持っていけば小沢さんはクロになるんだから。参院選前には起訴になるよ。それよりも今のうちに認めておいたほうが小沢さんにとっても得だよね」という主旨で、検察審査会の存在をちらつかせていたのだ。……

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