『月刊日本』2020年10月号の紹介

官邸の危機管理能力が低下

 本誌10月号は本日23日より書店販売を開始いたします。

 今月号では「『安倍・亜流』菅政権の正体」と題して、新たに誕生した菅義偉政権とはどのような政権なのか、彼らは果たしてどういう政治を行っていくのかを議論しました。

 菅政権は支持率が70%を超えており、国民から広く受け入れられています。自民党の各派閥も強力に支えており、一見すると盤石な体制のように思われます。

 これに対して、作家の佐藤優氏はいくつか不安要素を指摘しています。その一つが「官邸官僚」の変化です。安倍政権では今井尚哉総理秘書官兼補佐官や北村滋国家安全保障局長が大きな影響力を持っていましたが、菅政権では北村氏は引き続き官邸に残る一方、今井氏は秘書官を退きました。これまでメディアでは菅氏が安倍政権の守護神のように言われてきましたが、実際に情報管理を行っていたのは、菅氏ではなく、今井・北村両氏です。その一人がいなくなるということは、官邸にとっては大きな打撃です。

 しかも、菅政権ではコネクティングルームで有名になった和泉洋人補佐官が再任されています。これによって官邸官僚のバランスが崩れ、官邸の危機管理能力が低下する恐れがあるというのが佐藤氏の見立てです。

 東工大教授の中島岳志氏は、菅総理の本質は「値下げ」にあると指摘しています。菅氏は国交大臣政務官のときに東京湾アクアラインのETC割引を手がけ、総務大臣時代にはNHKに受信料値下げを要求しています。最近では携帯電話料金の値下げに取り組んでいます。値下げは、菅氏が人々の欲望を刺激する際の常套手段なのです。

 しかし、中島氏によれば、菅氏はしばしば自分ではコントロールしきれない人間的な嫌らしさが顔に出る人です。自民党総裁選への出馬会見の際、東京新聞の望月衣塑子記者が質問を投げかけたところ、菅氏は非常に露骨な態度で望月氏をあしらっていました。国民はそういうところをしっかり見ています。それゆえ、何かをきっかけに菅政権から民意が一気に離れることは十分考えられます。

沖縄にとって悪夢の政権

 作家の適菜収氏は、菅氏をめぐるメディア報道を批判しています。菅氏は官房長官として安倍政権を支え続けました。彼は安倍政権の悪政に関して大きな責任があります。

 しかも、菅氏は地元の横浜でカジノを推進しようとしており、維新の会ともベタベタにつながっています。今後、菅政権が維新の会と連立する可能性もあります。

 ところが、メディアは菅氏の問題点を指摘しようとせず、「菅は叩き上げだ」とか「苦労人だ」と持ち上げています。菅氏が苦労人であるかどうかは、政治の本質とは何の関係もありません。菅氏が叩き上げで苦労人だからといって、悪政を行っていいことにはなりません。

 沖縄タイムスの阿部岳氏は、菅政権は沖縄にとって悪夢の政権だと述べています。安倍政権時代は、安倍首相が沖縄に関心がなかったので、菅氏が代わりに沖縄対策を取り仕切っていました。全国の機動隊員を沖縄に投入したのも、海上保安官を辺野古に投入したのも菅氏です。様々な権謀術数をめぐらして沖縄の選挙に介入したのも菅氏です。

 もちろんこれらは安倍首相の承認のもとに行われたことですが、菅氏にも大きな責任があります。彼が最高権力者になることは沖縄にとって悪夢です。安倍政権より沖縄への対応がひどくなる可能性もあります。この点はしっかりと注視していかねばなりません。

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