モンサント社員が食べない遺伝子組み換え食品
―― 安田さんは『自殺する種子』(平凡社)で、遺伝子組み換え(GM)食品と、モンサント社による食の支配に警鐘を鳴らしている。
安田 遺伝子組み換え食品は、安全性が確認されていないにも関わらず、世界中で食べられているのが現状です。それが人体にどのような影響を及ぼすかは明らかでなく、親から子へ遺伝する危険性すらあります。つまり全人類が数世代にわたってモルモットにされているのです。このままでは、人類の遺伝子そのものが危ぶまれます。
遺伝子組み換え食品の危険性を一番よく知っているのは、誰よりもモンサント社の人間自身です。驚くべきことに、英国モンサント社の社員食堂では遺伝子組み換え食品不使用を掲げているそうです。彼らは世界中に「遺伝子組み換え食品は安全だ」と言っておきながら、自分たちは食べたくないのです。
そのくせ第三者による遺伝子組み換え作物の研究には消極的で、むしろGM種子の提供を拒むなど、妨害をおこなっています。以下、モンサント社の圧力に屈しなかった科学者の研究成果を紹介します。
1998年、英ローウェット研究所のプシュタイ氏は、マウスへGMジャガイモを与えました。その結果、免疫力低下、脳・肝臓・睾丸の発育不全、胃腸の構造変化・細胞増殖が確認されました。博士はTV番組に出演時「遺伝子組み換えジャガイモの実験結果が出るまで、私自身は絶対に食べない」「国民をモルモットにしてはならない」と発言しました。その2日後、彼は研究所を解雇されました。
2005年、ロシア科学アカデミーのエルマコヴァ氏は、妊娠中の母マウス・出産後の子マウスへGM大豆(モンサント社製)を給餌したところ、子マウスの生後3週間以内の死亡率は50%以上(通常の5~6倍)という驚くべき結果が出ました。その他にも奇形・成長不全・凶暴な子マウスが多く確認されました。さらに母マウスは妊娠する子供の数が減り、産後も育児放棄をしました。GM大豆の悪影響は、親から子へ遺伝するという危険性が明らかにされたのです。
2012年、仏カーン大学のセラリーニ氏を中心とする研究チームがGMトウモロコシ(モンサント社製)をマウスに一生(2年間)与えた結果、高い発がん率や巨大な腫瘍が確認され、平均寿命前の死亡率はオス60%(通常の2倍)、メス80%(通常の4倍)でした。
彼らは実験結果の発表後、多方面からの誹謗中傷に晒されました。原発のように、遺伝子組み換えの安全性に疑問を呈することは、政官業学のタブーだからです。彼らは自らの生活・キャリアを犠牲にしかねない研究を行い、人々のために結果を公表したのです。
―― そもそも遺伝子組み換え作物とは何なのか。
安田 商品化されたもので最も多いのが除草剤「ラウンドアップ」を撒いても枯れないように遺伝子操作を施された作物です。モンサント社のラウンドアップは植物ならなんでも枯らす強力な除草剤です。畑でラウンドアップを散布すれば作物も枯れてしまいます。でもラウンドアップに強い作物なら除草剤を空中散布できます。除草の省力化ができるという触れ込みです。モンサント社は「ラウンドアップ」という除草剤と、それを浴びても枯れない「ラウンドアップレディ」をセットで販売しています。
しかしラウンドアップは健康被害・環境破壊の危険性を指摘されています。世界第3位の遺伝子組み換え作物栽培国アルゼンチンでは、ラウンドアップの空中散布により、白血病・皮膚潰瘍・遺伝障害が多発し、住民に避難勧告が出されています。つまり人が住めなくなってしまったのです。……
以下全文は本誌7月号をご覧ください。