菅野完 バカとの戦い

物書きの劣化

 森友学園問題をめぐって明らかになったものの一つとして、ジャーナリストや評論家など物書きの劣化ということが挙げられます。彼らの中には、公文書改竄という深刻な問題が発覚した後も、いまだに政権擁護を続けている人たちがいます。言論界の力を復活させるためには、こうした人々を徹底的に批判していくことが必要です。

 ここでは弊誌5月号に掲載した、著述家の菅野完氏のレポートを紹介します。全文は5月号をご覧ください。

「バカとの戦い」に終止符を打つ

 こうした痴れ者は、菊池誠、花田紀凱など、ここで具体例をあげた人物だけではない。小川榮太郎、上念司などの保守論壇人をはじめ、テレビではテリー伊藤、田崎史郎、古市憲寿など「政権に対する言いがかりだ」「そんなに大騒ぎする話ではない」と火消しに躍起になる痴れ者の具体例は、それこそ本稿紙幅では足りぬほど数多い。

 これらの痴れ者が痴れ者である所以は、森友問題の末路である公文書改竄や、加計問題の末路である国会答弁の欺瞞を追及することを単に「政権批判の道具」だとしか理解できない点にある。違うのだ。この点を批判するメディアも野党も安倍政権のことなど眼中にない。だからこそ、これまで安倍政権に親和的であった読売系メディアもこぞってこの問題を取り上げるのだ。単に安倍政権を左右する問題ではなく、この問題は我が国の国家としての統治能力の根幹が問われる問題であるという認識があるからこそ、みながこぞってこの問題に執着するのだ。

 なるほど、見た目には「政権を批判するもの」と「政権を擁護する側」の対立に見えるのかもしれない。しかし一旦、「いま国会で繰り広げられているのは、公文書改竄という前代未聞の大事件をいかに責任をもって解決し、将来に禍根の残らないようにし、我が国の統治機構の信頼を恢復するか」との議論であると認識できれば、そうでないことが理解できるだろう。

 今起こっている対立は、「政権批判側」と「政権擁護側」の対立ではない。我が国を近代国家として維持しよう、我が国の法治主義を維持しようとする勢力と、その重要性を理解せぬ勢力との対立なのだ。もっと端的に言えば、知性を擁する勢力とバカとの対立なのだ。

 この一年、我々は国会の議論がことごとく毀損される姿を目撃し続けてきた。首相本人の軽々しい答弁にあわせて、国有財産売り払いの決裁文書という重大文書が改竄されるという前代未聞の事件まで体験した。また、加計学園問題では先進国にあるまじきネポティズムとクローニズムの吹き荒れる様を目撃した。いわばこの一年我々は「バカにやられっぱなし」だったのである。

 もうたくさんだ。これ以上、我が国の統治機構が根幹から毀損され、国家統治の正当性のみならず正統性にまで疑義が呈される状態は看過できない。

 一刻も早くこの「バカとの戦い」に終止符を打ち、本来の国家の姿を、先進国として恥ずかしくない日本の姿を、内外に示さなければならない。……

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