亀井静香 「アメリカのポチ」として生きるのか!

日本が国際社会から相手にされない理由

 米朝首脳会談に向けて各国の動きが活発化しています。そうした中で有効な手を講じることができていないのが日本です。その原因の一つは安倍政権が対米従属的な振る舞いを繰り返していることにあります。北朝鮮をはじめ諸外国からすれば、どうせ日本はアメリカの言いなりになるのだから、日本と話をする必要はなく、アメリカと話をつければいいということになります。だから安倍政権は誰からも相手にされないのです。

 ここでは弊誌6月号に掲載した、前衆議院議員の亀井静香氏のインタビューを紹介します。全文は6月号をご覧ください。

米朝は「朝鮮半島の非核化」で折り合いをつける

── 北東アジア情勢が激変しつつあります。6月12日には米朝首脳会談が開催されますが、現在の両国の動きをどう見ていますか。

亀井 北朝鮮が「わが国は、アメリカ本土まで届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)を完成した」と言っている以上、トランプとしては、アメリカの安全保障を最優先せざるを得ない。北朝鮮の核ミサイルをどう制御するかということを、まず彼は考えざるを得ないということだ。

 アメリカは自由、民主主義、人権といった自らの信奉する価値観を守り、それを世界に押し広げるために、十字軍的な介入をしてきた。他国で人権侵害があれば、それを容認しなかった。そうした立場からすれば、北朝鮮の独裁体制は容認できないはずだ。

 しかし、もはやアメリカが北朝鮮に対してそうした十字軍的介入をすることはできない。北朝鮮が戦略核兵器を保有しているとすれば、アメリカの安全保障を脅かすことになるからだ。北朝鮮との戦争になれば、日本も火の海になる。

 しかも、「アメリカ・ファースト」を謳うトランプ政権は、イデオロギーや理念よりも自国の国益を重視するようになっている。

 つまり、北朝鮮の現在の体制を容認した上で、アメリカの脅威となる北朝鮮の核ミサイルを無力化するのがトランプの最優先課題だということだ。金正恩も「朝鮮半島の非核化」には合意した。

── アメリカは、非核化について、「CVID」(完全、検証可能かつ不可逆的な核廃棄)という立場をとっています。

亀井 そんなことに北朝鮮が応じるわけはない。すでに持っている核を捨てさせるということは実際には難しい。だから、核を使わない状況に持っていくしかない。

 言葉の上の「非核化」ということで、両者が折り合いをつけるしかないだろう。現在、どう折り合えるか腹の探り合いをしている。激しい駆け引きが続いている。

 米朝は力と力で対峙しつつも、お互いのメンツを保ちながら緊張を緩和するしかないのだ。北朝鮮としても、それによって経済制裁を緩和させられれば、経済的にもメリットがある。

── 南北の融和も加速しています。4月27日に開催された南北首脳会談で署名された「板門店宣言」には、「南と北は、休戦協定締結65年となる今年、終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に転換し、恒久的で強固な平和体制を構築する」と述べています。
 ただ、そのために「南北米3者、または南北米中4者会談の開催」を進めていくとしています。ここに、日本は入っていません。

亀井 北朝鮮にとっても、アメリカにとっても、中国にとっても、日本が入る意味はないからだ。意味のない人間をお客さんとしてわざわざ呼ぶ必要はない。

 日本は、直接北朝鮮と拉致問題の交渉をすることしかできない。……