解散風が吹き始めた
安倍総理の側近である萩生田幹事長代行が消費税増税を延期し、その信を問うために衆議院の解散を示唆したことで、解散風が吹き始めました。二階幹事長も菅官房長官も、総理が選挙をやると言えばやると述べています。解散の可能性はかなり高いと見ていいでしょう。
萩生田氏は以前より消費税増税のあり方に疑問を呈していました。ここでは弊誌2月号に掲載した、萩生田氏と政治評論家の中村慶一郎氏の対談を紹介します。全文は2月号をご覧ください。
国会運営のあり方を見直す
中村 だんだん萩生田さんのペースになってきましたが、本筋の政策論議に入っていきたいと思います。まずは国会運営のあり方についてうかがいます。安倍総理は年頭記者会見で、「猪突猛進」とあわせて「しなやかさ」を今年の目標として掲げました。これは議会政治においてきわめて重要なことです。これまでのように何でもかんでも力で押し通すようなやり方は、しなやかとは言えません。
萩生田 そうですね。私たちは会期ありきの国会運営をしてきたことは反省しなくてはならない一面もあります。残念ですが大の大人がマイクのつかみ合いをして物事を決める様子を見れば、国民の皆さんが不安に思うのも致し方ありません。
ですから、私たちも丁寧な審議を行うので、野党の皆さんにもしっかりと議論をしてもらい、これ以上新しい課題がないとなれば採決に応じてもらえるような仕組みを作っていきたいと思います。そうすれば国会はきっと正常化するはずです。
中村 次にマイナス金利についてうかがいたいのですが、こんな政策は日本経済にとって害あって益なしですよ。やめたらどうですか。
萩生田 銀行に預けたら損をするわけですからね。一理あると思います。
中村 消費税増税も国民生活のことを考えたら凍結すべきではないですか。
萩生田 確かにデフレからの脱却を進めてきたのに、2%の増税によって景気が腰折れし、元の木阿弥になってしまっては意味がありません。それならばもっと体力がつくまで凍結したらどうだというご意見は、私も決して耳を傾けないわけではありません。
他方、これだけ高齢化社会が進んで担い手が減っている中で、将来の制度設計を急がなければならないことも事実です。そこで私たちは前回8%にしたときの反省を踏まえ、できるだけ負担感が少なくなるように様々な政策に取り組んでいます。
中村 しかし消費税を10%まで上げると言いながら、増税に備えた経済対策として2兆円を使うわけでしょう。
萩生田 だったら消費税を上げなければいいじゃないかということになりますね。わかります。
中村 公明党や大新聞が強く主張している軽減税率だってそうです。店内で食べれば税金がかかるが、持ち帰れば軽減税率の対象になるなどと言われても、全然わかりませんよ。
萩生田 税はシンプルでなければなりませんね。私も与党の一員ですが、そこは思うところがあります。