お米の値段が10倍にはね上がる
弊誌はこのたび、月刊日本2月号増刊「日本のお米が消える」を出版いたしました。本日より店頭販売を開始しております。この増刊では農業政策や種子法、モンサントをはじめとするグローバル企業の問題などを取り上げています。
メディアではあまり報じられていませんが、お米の種を守ってきた種子法が4月に廃止されることになっています。種子法がなくなれば、日本のお米の値段は10倍にもはね上がり、やがて市場から姿を消していくはずです。このままでは日本のお米が消えてしまう恐れがあるのです。
ここでは、増刊号の「前書き」を紹介いたします。一人でも多くの方々にお手にとっていただければと思っております。
はじめに
いま、私たちの主食であるおコメが奪われようとしています。近い将来、私たち日本人は自分でおコメを作ることができず、日本のおコメが食べられなくなる恐れがあるのです。
「え! 大変じゃないか! でも、そんな大事なことなのに、初めて聞いた」。
こういう読者の方々が多いはずです。どうして私たち国民が知らないうちに、こんな大変なことになっているのでしょうか。その秘密は、「主要農作物種子法」(種子法)が2017年にひっそり廃止されたことにあります。
これまで日本人は長い年月をかけて良いおコメを作ろうと努力してきました。そのおかげで日本では、それぞれの地域に適した美味しいおコメがたくさん作られてきました。先祖伝来のおコメは、それぞれの地域に適した形で守っていかなければいけません。そのために種子法という法律が作られました。
種子法は、1952年の成立以来、日本のおコメを守ってきました。各都道府県は種子法に基づいて施設や職員、予算を用意し、それぞれの地域に適したおコメを維持・管理・開発してきたのです。
ところが、です。2017年、いきなり国会に種子法廃止法案が提出され、あっさり通過し、種子法が廃止されることになってしまったのです。これによって、各都道府県にはおコメなどのタネを守り維持する義務がなくなり、予算の根拠もなくなってしまいます。
このままだと日本のおコメは値段が上がり、味が不味くなり、種類が減り、やがて市場から姿を消していくことになるでしょう。それどころか、品種そのものが失われ、二度とそのおコメが食べられなくなる恐れすらあるのです。
どうして安倍政権は種子法を廃止したのでしょうか。それも、私たち国民に気づかれないように、こっそりと……。
この疑問を追いかけるうちに、いま何者かが日本のおコメを奪い、日本の食を支配しようとしている事実が浮かび上がってきました。
そう、日本のおコメが自然に「消える」ことはありません。日本のおコメが「消える」のは、誰かに「奪われる」結果なのです。
それでは、私たちからおコメを奪おうとするのは何者なのか。そのヒントは、安倍政権の農業政策にあります。
これまで安倍政権は「農業改革」を進めてきました。「農業競争力の強化」というスローガンの下で、農協を解体して種子法を廃止する一方、企業参入を認め、農業の大規模化と効率化を推進してきました。ここから、安倍政権の狙いが農業の担い手を「農家」から「企業」に置き換え、農業を工業化することだと分かります。
その結果、いま、自然が破壊され、農村が崩壊し、日本のおコメが消えようとしているのです。つまり、私たちからおコメを奪おうとしている「何者か」の正体とは……。
おっと、少し結論を急ぎすぎたようです。ここでは、安倍政権は「何者か」の共犯者であり、国民の利益ではなく、彼らの利益のために農政を進めていると指摘するだけにしておきます。
本書は、いま何者かが私たち日本人からおコメを奪おうとしているという「不都合な真実」を明らかにし、読者の皆さんに警鐘を鳴らすものです。私たちの代で日本のおコメを失ってはなりません。
皆さん、日本のおコメを守りましょう!
ご先祖様が私たちに遺してくれたおコメを、子孫たちにも遺そうではありませんか!
本書がそのための一助になれば、これに勝る喜びはありません。