野田幹事長の妄言
民進党の野田佳彦幹事長が先の日露首脳会談について、「外交交渉としては、完敗だったのではないかと。体よく『坊や、良い子だ、金出しな』みたいな感じで(要求され)、資金協力したのではないか」と述べました。また、「原則を外した中での資金協力だけなら、手放しに喜べない」として、「ロシアの思惑通りに進んだのではないか」と指摘しました(12月19日付FNN)。
しかし、野田氏の認識は全くの誤りです。これまでの領土交渉の歴史を踏まえつつ、12月14日付の読売新聞に掲載されたプーチン大統領のインタビューや、日本外務省が発表した「プーチン・ロシア大統領の訪日(結果)」、さらには12月17日に日本テレビが報じた安倍首相のインタビューなどを丹念に読めば、今回の日露首脳会談が領土交渉を進展させるためのきっかけになり得るものだったということがわかります。野田氏はおそらく新聞報道さえまともに読んでいないのではないかと思います。
野田氏はかつては総理大臣として北方領土交渉に携わっていました。しかし、この程度の知識でプーチン大統領に接していたのかと思うと、背筋が寒くなります。もし野田氏が総理大臣のままであれば、北方領土は一島も返ってこなかったでしょうし、共同経済活動さえ実施できなかったでしょう。
ここでは、弊誌12月号に掲載した、新党大地代表の鈴木宗男氏のインタビューを紹介したいと思います。
野田幹事長よ、「馬鹿も休み休み言え」
―― 学者だけではなく政治家も問題です。鈴木さんは民進党の野田佳彦幹事長の主張を批判しています。
鈴木 野田氏は10月24日の朝日新聞で、「仮に、国後、択捉、歯舞、色丹の4島のうち、歯舞と色丹の2島が返還されるとしましょう。これは全体の半分を返すという話ではありません。この2島の面積は、4島全体の約7%にしかすぎないのです。すなわち、約70年前に100万円を奪ったロシアが、今ごろになって7万円だけは返してやるよと言っているのと同じです。馬鹿も休み休み言えってところです」と述べています。
間違ってなったとはいえ、仮にも総理大臣経験者がロシアを「強盗」に例えるなど言語道断です。何様のつもりなのかと眉を顰めざるをえない言いぶりですよ。
大体、野田氏は陸の面積しか頭になく、海の面積、重要性が全く分かっていない。歯舞・色丹2島が返ってくるだけでも12カイリの領海と200カイリのEEZが広がるのです。
北方領土周辺は世界三大漁場に数えられる良い漁場ですが、そこで漁業関係者が安全にもっと仕事ができるようになる。これまで北海道の漁業関係者があそこでどれだけ苦労されたか。漁業協定に従って漁をしていても、潮の流れが速いものだから、船が禁止区域に流されてしまうこともある。そうするとロシアの国境警備隊が銃撃してきて、「父ちゃん逃げれ!」「兄ちゃん逃げれ!」と言って本当に大変な状況で、私はこれを何とかしたいと思ってやってきたんですが、それを全く分からずですね……。
私は10月24日に元島民の代表の方とお会いして、その想いをお聞きしました。元島民の皆さんは、まず2島返還を実現して漁業ができるようにしてほしい、自由にご先祖様のお墓参り、故郷を訪問できるようにしてほしいと仰っていました。野田氏は平均年齢が80歳を超える元島民の方々の想いを知っているのか。
野田氏が「2島」「7万円」じゃダメだというなら、自分はどんな解決策を持っているというのか。自分が総理大臣のとき、北方領土問題の解決に向けて何をしたというのか。確かに野田政権時代、2012年11月に森元総理が訪ロして、12月には野田総理が訪ロするというスケジュールもあったが、しなくていい解散をしてその機会を潰したのは野田氏本人ではないか。
「ロシアけしからん」「日本政府のやり方は気に食わん」と100万回言っても島は返ってこないんです。ただ批判するのは「運動」です。しかし「政治」は結果を出さなければならない。総理を経験した野党第一党の幹事長ともあろう者が、「政治」と「運動」の区別がついていないのでは、開いた口が塞がりません。「馬鹿も休み休み言え」という言葉は、そっくりのしを付けて野田氏にお返ししたい。
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