『月刊日本』2021年3月号の紹介

「命の格差」を許すな!

 弊誌3月号は明日22日より書店販売を開始いたします。

 今月号では、新型コロナウイルスの対応をめぐって「命の格差」が生じている問題を取り上げました。

 日本では昨年12月から今年2月までの約2か月間で、累計の感染者数は約15万人から約41万人(2・7倍)以上、死亡者数は約2100人から6900人以上(3・7倍)に跳ね上がりました。入院できない自宅療養者は全国で3万5000人を突破しており、容体が急変して亡くなるケースも相次いでいます。昨年12月から2か月間で少なくとも131人が自宅療養中に亡くなっています。コロナ以外の病気で倒れた後、搬送先が見つからないまま亡くなるケースも多発しています。

 その一方で、日本の富裕層は中国からワクチンを密かに輸入していたと報じられています。また、自民党の石原伸晃元幹事長が陽性発覚後に無症状で即日入院するなど、「上級国民」が優遇される状況が見られます。

 かつて徳洲会の徳田虎雄氏は、「生命だけは平等だ」と訴えました。いまこそこの理念を見直す必要があると思います。

 東京医師会会長の尾﨑治夫氏には医療現場の現状について、立憲民主党の小川淳也氏には自身がコロナに感染したことで見えてきたコロナ対策の不備について、れいわ新選組の山本太郎氏にはコロナ困窮者たちの置かれた状況について、立憲民主党の長妻昭氏には厚労省の問題点について、ノンフィクション作家の山岡淳一郎氏にはコロナ対策に成功している自治体の取り組みについて、毎日新聞の倉重篤郎氏には取材を通してわかった「感染症ムラ」の実態について、それぞれお話をうかがいました。

没後25年 あなたの知らない司馬遼太郎

 今年は司馬遼太郎没後25年にあたります。それにあわせて司馬関連の書籍が刊行され、雑誌でも特集が組まれています。秋には『燃えよ剣』の映画も公開される予定です。

 司馬遼太郎の人気は死後も衰えることはなく、今日も多くの読者を獲得しています。その影響は政界にも及んでおり、愛読書として司馬の作品をあげる政治家は珍しくありません。また、明治維新から日清・日露戦争までは良かったが、その後は坂を転げ落ちるように戦争へ突き進んでいったとする「司馬史観」は、歴代政権の標準的な歴史認識となっています。

 おそらく司馬のように名前を冠して「○○史観」と語られる小説家は、今後出てくることはないでしょう。そういう意味では、まさに空前絶後の小説家と言えます。

 司馬は膨大な作品を残しており、彼について論じた本も少なくありません。しかし、司馬の思想は深く、いまなお汲み尽くされたとは言えません。また、影響力が強大であるがゆえに、語ることを抑制されてきた問題もあります。

 そこで、今月号では司馬遼太郎の語られざる一面に焦点をあてる特集を組みました。評論家の佐高信氏には論壇や文壇の中にあった「司馬遼太郎タブー」について、編集者の佐藤眞氏には司馬の著書『土地と日本人』に隠された秘密について、元外交官の東郷和彦氏には祖父・東郷茂徳を取り上げた『故郷忘じがたく候』について論じていただきました。

 政局関連では、元衆議院議員の福島伸享氏に菅政権の本質を論じていただきました。菅総理は梶山静六氏を師と仰ぎ、施政方針演説の中でも梶山氏に言及していました。しかし、晩年の梶山氏と交流のあった福島氏は、菅総理は梶山氏とは全く異なる政治家だと指摘しています。最大の違いは、自らの人生と政治行動が結びついていない点です。

 その他にも読み応えのある記事が満載です。ご一読いただければ幸いです。