急速に安倍政権寄りになった『新潮45』
『新潮45』に掲載された杉田水脈衆議院議員のコラム「『LGBT』支援の度が過ぎる」が物議を醸しています。これは杉田氏だけでなく、このコラムを掲載した『新潮45』編集部の責任でもあります。『新潮45』はここ最近、急速に安倍政権寄りになっています。安倍政権支持者やネット右翼が好みそうな記事を作ることで売り上げを伸ばそうとしているのかもしれませんが、到底看過できるものではありません。
ここでは弊誌2018年3月号に掲載した、作家の適菜収氏と山崎行太郎氏の対談を紹介したいと思います。
安倍政権は「バカ発見器」である
山崎 問題は産経新聞だけではありません。櫻井よしことか百田尚樹など、文化人や芸能人も完全にネトウヨ化しています。彼らの主張は「安倍首相を叩く奴はけしからん」という感情論にすぎません。しかし、ネトウヨたちがある程度本を買ってくれるから、商売としては成り立つわけです。
適菜 雑誌もそうですね。かつての『諸君!』や『正論』には錚々たるメンバーが執筆していました。保守的な人たちも書いていた。でも、いまは単に政権に媚びを売る自称保守ばかりでしょう。要するに、ビジネスで物を書いている連中です。
山崎 『新潮45』にさえ、安倍政権を批判する人々をターゲットにした「安倍政権は『バカ発見器』である」なんて記事が掲載されるようになっていますからね。
適菜 安倍政権が「バカ発見器」だという見出しの文言には完全に同意します。安倍周辺に集まってくる連中を見れば、すぐにわかりますね。
山崎 僕が『WiLL』や『Hanada』みたいな雑誌に違和感を覚えるのは、彼らはテキサス親父とかその手の素人を登場させるでしょう。これもかつての左翼雑誌とそっくりなんですよ。左翼運動が盛り上がっていた頃は、労働運動や市民運動をやっている人間がよく雑誌に登場していたんです。彼らは運動についてはプロなのかもしれませんが、物書きとしてはド素人です。僕はそれが嫌で嫌で仕方なかった。それに対して、当時の保守系メディアは敷居が高くて、素人は登場できなかったんですよ。
適菜 いまや素人が全国紙の記事を書いている時代ですからね。
山崎 最近ではケント・ギルバートがそうです。彼は本がベストセラーになって全国で講演しているらしいけど、明らかにおかしいですよ。
適菜 ケント・ギルバートは講演で「日本は憲法を改正すべきだ」と言っているそうです。大きなお世話ですよ。もし日本の弁護士がアメリカで講演して「アメリカは憲法を改正すべきだ」と言えば、「帰れ、バカ」と言われるだけです。外国人から主権の問題に口出しされても、不感症になっている連中は何も言わない。
山崎 自称保守系雑誌がケント・ギルバートを登場させるのは、アメリカ人から自分たちの主張を正当化してもらい、安心したいからでしょうね。彼らは日本寄りの韓国系文化人を誌面に登場させ、日本を称賛させたりしていますが、これも同様です。
適菜 外国人に日本を褒めてもらって喜ぶという、昔からよくあるパターンですね。