石破茂を恐れる人々

安倍首相を不正直で不公正だと思っている自民党

 石破茂氏が自民党総裁選に向けて掲げたキャッチフレーズ「正直、公正」に対して、自民党内から「安倍晋三首相への個人攻撃」との反発が出ていると報じられています(8月25日 朝日新聞)。しかし、安倍首相のことを正直で公正だと思っていれば、「正直、公正」を安倍首相への個人攻撃とは捉えないはず。要するに、安倍首相を支える自民党議員たちも、内心では安倍首相のことを不正直で不公正だと思っているということでしょう。

 産経新聞やネット上では石破氏に対する批判の声が聞かれます。彼らがこぞって石破氏を批判するのは、それだけ石破氏を恐れているからです。安倍首相と石破氏が正面からぶつかれば安倍首相に勝ち目がないから、なんとか石破氏の評判を貶めようと必死なのでしょう。

 ここでは弊誌9月号に掲載した石破議員のインタビューを紹介します。聞き手は政治評論家の中村慶一郎氏です。全文は9月号をご覧ください。

これはやらねばならない戦いだ

中村 石破さんが自民党総裁選への出馬を決断されたということで、まずはその所信をお聞きしたいと思います。

石破 これはやらねばならない戦いであり、やらないという選択肢はありえないと思っています。政治のあり方、自民党のあり方がこのままで良いとは思われないからです。

 政治は誠実で公正で公平で正直でなければなりません。もちろん政治ですから、騙し合いもあれば偽計もあるでしょう。しかし、国民との間では誠実であり公正であり公平であり正直であることが求められます。安倍総理自身は誠実で公正であるかもしれませんが、国民の多くには疑念が残っている。安倍総理はよく「政治は結果だ」とおっしゃいます。そうであれば、国民の間に不信感が広がっている現状もまた、政治の結果と言われても仕方ないのではないでしょうか。

 私たち自民党は麻生総理大臣のときに総選挙で惨敗し、野に下りました。そのとき、自民党の何がいけなかったのかを反省し、新しく自民党の綱領を作り直しました。そこにはたとえば「勇気を持って自由闊達に真実を語り、協議し、決断する」という文言があります。あるいは、「多様な組織と対話・調整し、国会を公正に運営し、政府を謙虚に機能させる」、「政府は全ての人に公正な政策や条件づくりに努める」とも書かれています。

 綱領とは政党の憲法です。自民党の運営も政策作りも、全てこの綱領に基づいて行われなければなりません。果たしていまの自民党はこの綱領の通りの党だと言えるでしょうか。

 今回の自民党総裁選は、総理大臣を決める選挙としては、2008年の総裁選以来ということになります。3年前の総裁選は無投票でしたし、6年前の総裁選は自民党が野党のときに行われました。そういう意味では、自民党員だけでなく、国民全体に開かれたものにしなければなりません。そのような場が作れるかどうかが自民党に問われていると思っています。……

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