日本をどうする!
12月8日、亀井静香氏が主催するセミナー「日本をどうする!」が憲政記念館で開催されました。石原慎太郎氏をゲストに呼び、アメリカのトランプ次期大統領やTPP、靖国神社への賊軍合祀、天皇陛下の生前退位(譲位)など、多岐にわたる議論が行われました。
本誌2017年1月号にはその議論の抄録を掲載しております。ご一読いただければ幸いです。
12月8日、亀井静香氏が主催するセミナー「日本をどうする!」が憲政記念館で開かれた。当日は石原慎太郎氏をゲストに呼び、満員の聴衆を前に丁々発止の議論を展開した。
人類は自滅の道を歩もうとしている
―― まず現代の世界をどう見るか、という問題からお話いただきたいと思います。
亀井 私は今年の11月1日で80歳になりましたが、なんだか卵がバッと割れて、その中からヒヨコになって出てきたような気持でおります。皆さん方と共に日本を、世界をちゃんとしていくために頑張っていきたい。
本日は石原慎太郎先生にも来ていただきました。石原さんは文明に対する洞察力に優れた、まさに「文明の巨人」として私が尊敬しておる方です。
石原 本当かよ(笑)。
亀井 本当、本当。若干お世辞もあるけどね(笑)。
じゃあ、石原さんの露払いをします。今まさに人類は自然を破壊しながら自滅の道を歩もうとしている。
世界中に子供たちがおります。だが、その小さな子供たちがこの地球という小さな惑星の中で、人間らしく生きていけるのかどうか。私はこの問題を非常に心配すると同時に、我々が果たすべき責任だと思っています。
今、世界は「エゴの時代」に突入しています。冷戦の頃のようなイデオロギー的な対立は死滅してきております。そうした中で個々人が自己のエゴを徹底的に追求する、またそれが当たり前であるという時代になりました。
国家のエゴもそうです。イギリスのEU離脱やトランプ勝利も、国家のエゴが前面に出てきている表れです。
今の世界は、どこの国も「自分の国だけ守る。自分の国だけ守れさえすればいい」と内向きなんです。その中で日本はどう在るべきかを考えなければなりません。
石原 亀井さんの文明史観は正しいと思う。今から40年前、ブラックホールを発見したホーキングという天文学者が来日して、有楽町で公演したことがあります。
講演後の質疑応答で、ある人が挙手して「この宇宙に地球のような、生命体が存在して文明の進んでいる惑星はいくつくらいあると思いますか」と聞いたら、ホーキングは即座に「スリーミリオン(3百万)」と答えた。 次の人が「文明を持つ惑星がそんなにあるなら、なぜ実際に宇宙人や宇宙船が地球に来ないんでしょうか」と聞くと、ホーキングは笑ってね、「地球みたいに文明が進みすぎた惑星は、自然の循環が狂って生命体が死滅し、宇宙時間でいうと一瞬のうちに滅びてしまうからだ」と言った。最後に私が「宇宙時間の一瞬というのは何年ですか」と聞いたら、ホーキングは「ハンドレッドイヤーズ(百年)」と答えました。
それから40年経った今、地球が温暖化して世界中で異常気象が起きている。だから私は地球そのものが持つか持たないか非常に心配しています。
それ以前に日本そのものが生き残れるかどうか。あのシナの覇権主義は予断を許さないと思う。私はチベットのダライ・ラマと親友ですが、結局チベットという国は無くなりました。文明も文化も無くなった。消滅しましたよ。ダライ・ラマはインドの小さな町に亡命して、そこでチベットなるものは細やかながら残っているだけです。そういう現象がこの日本に起きないとも限らない。
私たちは自分たちの子や孫たちにこの地球や日本を残せるのか、真剣に考えなきゃいけないと思いますね。
トランプよ、日本を舐めたらいかんぜよ
―― 亀井さんは11月にトランプに会いに行きました。
亀井 トランプは「世界の警察官をやめる」と言っていた。これはいい。しかし一方で日本に対して無礼千万なことも言っていたからね。そこで私と石原さんは「トランプと腹を割って議論しよう」と思い立ち、トランプ陣営に面会を申し込んだんです。
その後、向こうから「11月7日の夜7時にNYでお会いしましょう」と返事があった。石原さんは体調が優れず、涙を呑んで行かれなかった。私は一人でアメリカに飛び立ち、トランプタワーの14階に乗り込みました。
そこでは最高幹部を通じてトランプと会談の論点整理をやりましてね。トランプは「安保ただ乗り論はもう言わない。日韓が原爆を持つべきだとももう言わない。だからこの二点は論点から外してくれ」と、そこまで話を詰めていました。
NYには11月6、7、8日とおったんですが、トランプ陣営も当初は「行けるかなあ」という雰囲気でしたが、途中から「行けるぞ、行けるぞ!」ともの凄い勢いになった。それでトランプはNYを離れて激戦地を飛び歩かねばならなくなって、7日7時にNYにはおれなくなったんです。
私は「これはしょうがねえな」と思いました。トランプが当選した場合、大統領としてのスタッフも決めず、政策も練っていない段階で日本の政治家と個々の具体的な政策について議論していた、というのはまずいですからね。そういう判断が働くのはやむを得ない。それで私はトランプに会わずに帰ってきましたが、トランプ陣営との人脈など、得るものは大きかったと思います。
石原 僕は安倍さんがトランプに会いに行くと決まった時に、官房長官の菅くんに「これだけは安倍さんに覚えておいてほしい」と伝えたことがあるんですよ。それは日本の科学技術力は素晴らしいということです。
アメリカの最新鋭戦闘機は日本の技術力がなかったら作れないんです。コックピットにあるダッシュボードのセラミックも計器類の液晶体も全て日本製です。
いまボーイングで作っている新しい大型旅客機も、日本のカーボン・ファイバーの技術がなければ作れない。ボーイングの社長は「これからできる新型旅客機はメイド・イン・アメリカではなくメイド・ウィズ・ジャパンだ」とはっきり言っている。
また21世紀に科学技術分野で日本人がとったノーベル賞の数は、ヨーロッパ全体の数より多いんですよ。
安倍さんには我々日本人の科学力はこれだけ優れているということを知った上で、トランプに対して「日本を舐めたらあかんぜよ」と物を言ってほしいと思ってね。……
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