高橋清隆 加計学園・獣医学部新設の闇

 安倍政権に「第二の森友学園」と呼ばれる疑惑が浮上している。岡山理科大学が来春、愛媛県今治市に開校を予定する獣医学部新設をめぐる疑惑である。今治市は昨年、国家戦略特区に認定され、土地の無償譲渡を含め百億円以上の援助をする。同大学を運営する加計学園の加計孝太郎理事長は、安倍首相と四十年来の友人。国家戦略特区諮問会議の議長を務めるのは首相であり、これは特区制度の闇を物語る。

五二年ぶりの新学部が突然認可

 岡山理科大学の新学部設置に対する疑念を国民に抱かせたのは、3月13日の参院予算委員会。社民党の福島瑞穂議員が「加計学園が獣医学部を創りたがってるのは知っていたか」と質問した。答弁席に歩み出た安倍首相は、官僚の用意した資料を机にたたくように置きながら、上ずった声で言った。

 「福島さんねえ、特定の人物、あるいは学校の名前を出している以上、何か政治によってゆがめられたという確証がなければ、その人物に対して極めて失礼ですよ。あなた、責任取れるんですか、全く関係なかったら」

 その姿は動揺していた。誰もが、首相にやましいことがあると感じたはずである。

 今治市が国家戦略特区に指定されたのは、2015年12月15日。広島県と共同で10番目の特区になった。ただし、提案していたのは愛媛県との共同案だった。同市は獣医師養成系大学の誘致を目指し、07年から14年までの間、構造改革特区に計15回申請している。

 獣医師養成系学部の新設が認められたのは、全国で52年ぶり。獣医師人口は医師同様に供給過多にあるため、日本獣医師会が反対してきた。来春今治市に開校するのは、入学定員160人の獣医学科と同60人の獣医保健看護学科。人口減、特に若年層の流出が続いてきた同市は大学誘致を待望してきた。

 一方、運営する加計学園グループは岡山理科大、倉敷芸術科学大、千葉科学大など5大学のほか、6つの専門学校はじめ高校・中学校・幼稚園・保育所合わせて29の学校施設を持つ。加計学園理事長の孝太郎氏は二代目で、安倍首相が親友と公言している。

 新学部は今治市いこいの丘の16・8万平方メートルの敷地に、七階建て学部棟や四階建ての教育病院、運動場などを整備する。用地は市土地開発公社などから約36億7500万円で買い戻したものを無償譲渡する。校舎建設費や備品購入費など大学設置経費約192億円の半分の96億円を上限に64億円を市が補助する。うち32億円は愛媛県に協力を依頼するという。森友学園の8億円値引きと桁が違う。……