はりぼての支持率
朝日新聞のスクープによって安倍政権が大きく揺らいでいます。もっとも、安倍政権の弱体化はいまに始まったことではありません。すでに先の総選挙の頃には、安倍政権がいかに脆弱な基盤の上に成り立つ存在であるかが明らかになっていました。議席の多さ、支持率の高さは、はりぼてにすぎません。
ここでは弊誌2月号に掲載した、作家の佐藤優氏のインタビューを紹介します。全文は2月号をご覧ください。
真のエリートを取り戻せ
―― 今後、安倍政権はどうなるのですか。
佐藤 すでに主流エリートは安倍政権から離れつつあります。昨年の総選挙で、安倍政権の基盤が脆弱であり、対抗馬が現れたら倒される可能性があることが可視化されたからです。前回の総選挙では、希望の党と民進党の合流がうまくいっていれば、政権交代は十分にありえました。実際、フタを開けてみたら比例票は野党の得票数が与党の得票数を上回っていました。
これを見た主流エリートは攻勢に転じています。総選挙後、検察はJR東海のリニア新幹線の談合事件やスパコン会社の助成金詐取事件など、安倍政権の周辺で捜査を進めています。これは政権の本丸を攻めるものではありませんが、その外堀を埋めるものです。このような捜査は安倍政権の権力が強ければできないことです。その他の官僚も表向き安倍政権に仕えていますが、腰が引けており、いつでも逃げ出せる準備を始めています。
与党も官邸の顔色を気にしなくなっています。自民党内では石破茂議員、岸田文雄政調会長、野田聖子総務大臣が総裁選への出馬に意欲を示しています。内閣の一員である閣僚が総裁選への出馬を表明するなど、通常ならば考えられないことです。また公明党は安倍政権による憲法改正や核禁止条約の批准見送りに批判を強めています。
経団連など経済エリートだけは未だに安倍政権にくっついていますが、これも株価次第です。株価が下落し始めたら、経済エリートも安倍政権を見限ることになります。……