本誌編集部 ワクチンビジネスの深い闇

 6月14日、厚生労働省で「子宮頸がん予防ワクチン」の安全性を検討する専門家会議が開かれた。その結論は「勧奨を一時控える」、つまり「ワクチン接種を勧めることを控える」というわかりにくいものだった。被害拡大に一定の歯止めはかかったが、接種そのものが中止されたわけではない。

 本誌は先月号で、①「子宮頸がん予防ワクチン」は子宮頸がんを予防する効力も持続力もない ②その効力の無さに比して、副反応が重篤すぎる ③なぜこのようなワクチン接種に、国家が一千億円という予算をつけたのか、と指摘した。

 ワクチン推進派の主要な議論は、「専門家の検討により、中止する必要はない」「WHO(世界保健機関)も認めていて、世界ですでに広まっており、日本だけが遅れている」というものである。

 だが、ワクチン評価を行う専門家とはどういう人々なのか。そしてそもそもWHOとはそれほど信頼できる組織なのだろうか。

 特集第2弾は、ワクチン業界・行政・専門家(研究者)を結ぶ利益相反問題を追う。

製薬会社から資金提供を受ける審議委員

 今回、幸いにして「勧奨中止」の結論が出たが、5月14日に開かれた審議会では「接種継続」が決定され、被害者を落胆させていた。この時の審議会委員14人中7人、参考人2人のうち1人がワクチンメーカーから金銭を受け取っていることが判明した。ワクチンの評価、安全性、副反応の調査を行う専門家が、ワクチンメーカーから金銭を授受しているのであれば、その審議の公正さには疑念を抱かれざるをえない。

 5月の審議会を傍聴したそね文子氏(杉並区議)は審議の実態を次のように報告している。
「審議会の委員は専門家といわれる方と医師の方々、参考人として複合性局所疼痛症候群(CRPS)に詳しい大学の教授が出席されていました。

 全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会からは、厚生労働省には報告されていないものも含む症例24件を資料として提出し検討されることになっていました。その資料を1分でその場で読んでください、と座長から指示がありました。しかし、症例を24件もその場で1分で読めるわけはありません。そして、症状とは関係ない、あるいは医学的に判断できる報告ではないという理由から、症例の内容が審議されることはありませんでした。

 その後、座長はこのワクチン接種の継続について、委員全員の意見を求めましたが、半数は意見を言わず、製薬会社から寄付を受けている委員が「(副反応症例が)集中的、多発的でないのならば、中止はありえない」と発言すると、審議会では議決もとらず、事業を継続して経過を見守りましょうという結論が出されたのです。審議会のあり方には怒りと失望しか感じられませんでした」

 この審議会で、薗部友良(育良クリニック小児科顧問)委員は、「(副反応症例が)集中的、多発的でないのならば、中止はありえない」との発言をしたとされるが、薗部委員は子宮頸がん予防ワクチン「ガーダシル」を製造販売するメルク(MSD)社から「50万以上500万以下」の寄付金等を受け取っている。

 子宮頸がん予防ワクチンを製造するグラクソ・スミスクライン(GSK)社、MSD社からの金銭関係を持つ委員の一覧表が前頁下図である(厚労省HPより作成)。

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 たしかに、厚生労働省は審議の公正さを保つため「審議参加に関する遵守事項」を定め、利益相反関係にある会社からの寄付金等についての報告を委員・参考人に求め、これを公開している。

 ただし、この報告は個人に対して為された金額についてであって、委員・参考人が所属する研究機関などに為された寄付金は含まない。「50万円以下」と少額に見えても、組織・研究機関に対して別ルートでの寄付金が存在する可能性はあるのだ。

 さらに、今回の審議会で配布された資料論文「HPVワクチンの有効性について」を執筆した今野良(自治医科大学婦人科学教授)氏がGSK社から研究費用を授受していることが、資料脚注から明らかになっている。なお、今野氏はGSK社のホームページで熱心にサーバリックス接種を勧めている広告塔でもある。編集部は今野氏に取材を申し込んだが返答はなかった。……

以下全文は本誌7月号をご覧ください。