知られざる川内原発の真実

川内原発の安全性を確認せよ

 11月28日、鹿児島県の三反園訓知事は川内原発の再稼働を事実上容認する姿勢を示しました(11月28日付時事通信)。しかし、川内原発の安全性には重大な疑義があります。川内原発の地下には、原子炉建屋建設に際して余った鉄筋8500トンが埋設されている可能性があるのです。これは関係者の内部告発として、2005年11月25日付の読売新聞、同日の毎日新聞夕刊、さらに11月26日付の産経新聞で報じられていることです。

 これが真実であれば、極めて重大な問題です。安倍総理はこの内部告発の内容を徹底究明し、川内原発の安全性を確認すべきです。また、読売新聞や産経新聞、毎日新聞もこの報道について説明責任を果たすべきです。もしこれが誤報であり、それを今日まで放置してきたというならば、朝日新聞の誤報問題よりもさらに質が悪いと言わざるを得ません。

 ここでは、弊誌2015年2月号に掲載した川内原発に関する記事を紹介したいと思います。

川内原発の安全性に重大な疑義あり!

 東日本大震災と福島第一原発事故から間もなく4年目を迎えます。大震災以降、稼働原発ゼロの状態が続いていましたが、原子力規制委員会の新基準に合格した九州電力の川内原発1、2号機が再稼働する見通しです。

 実は川内原発には、安全上の疑義があります。

 川内原発1、2号炉の建設に着工した昭和56年秋から59年冬にかけて、工事を担当した大成建設が原子炉建屋の建設で余った鉄筋8500トンを原発の地下に廃棄、埋設したのです。埋設工事を行った当事者が平成17年、経産省原子力安全・保安院に「8500トンの鉄筋を埋めた」と内部告発し、読売新聞は平成17年11月25日に社会面のトップ記事で詳細に報道しています。

 原子力規制委員会は川内原発1、2号炉の安全対策が新規制基準を満たしていると判断し、薩摩川内市長や市議会、鹿児島県知事や県議会が再稼働に同意しています。

 しかし、原子力規制委員会や地元自治体は内部告発にある鉄筋埋設の事実を十分に検証したのでしょうか。

 昨年行われた世論調査によれば、原発再稼働反対が56%(朝日新聞、日経新聞)、再稼働賛成が32%(朝日は28%)でした。注目すべきは、再稼働反対と回答した人のうち68%が電気料金値上げを受け入れる(日経)、と回答していることです。

 福島第一原発事故から大きな教訓を得た国民は、目先の経済的利益よりも、国土・身体の安全・安心がより大切だと考えるようになったのです。

 安倍総理! この内部告発の事実経過を確認し、川内原発の安全性に問題があるのか否かを徹底検証していただきたい。

 問題があるならば、勇気を奮って、川内原発の再稼働にストップをかけるべきです。

 平成17年11月25日付の読売新聞朝刊は「鹿児島・川内 原発地下に鉄骨廃棄 保安院に内部告発 建屋建設、余った8500トン」との見出しで、次のように報じています。

 〈九州電力川内原子力発電所の敷地内に「合計8500トンの不用な鉄筋を埋めた」との内部告発が、経済産業省原子力安全・保安院に寄せられていたことが24日、読売新聞の調べでわかった。保安院は内部告発をもとに様々な事態を想定し、施設や地盤の耐震強度などを算出した結果、「安全性に問題はない」との結論に達した模様だ。内部告発は具体的かつ詳細なものだが、大量の鉄筋埋設の事実関係については、十分な調査が行われておらず、今後の焦点になりそうだ。〉

 安倍総理はこの新聞報道をご記憶でしょうか。ご存じでなければ、当時の新聞を取り寄せて、確認していただきたい。この記事が事実であれば、即刻当時の保安院責任者を呼び、事の経緯を確認していただきたい。

 記事には〈保安院では、たとえ設計図にない8500トンの鉄筋が埋められ、それが酸化してサビが浮いたとしても原発の安全には影響しないとの結論に達した模様だ。〉と書かれています。

 当時、保安院は九電、大成建設、下請業者など関係者から詳細に事実関係を聴取し、徹底調査をしたのでしょうか。疑わしい限りです。

 読売の記事には実に驚くべき事実が書かれています。鉄筋の埋設場所とその方法、埋設した鉄筋の重量が、次のように詳細に記されているのです。……

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