適菜収×山崎行太郎 変節漢・西尾幹二に物申す

民進党議員の変節

 民進党議員の多くが自らの主義主張を捨てて希望の党へ駆け込んだのは、まさに変節と言わざるを得ないものです。しかし、こうした変節は、民進党議員だけでなく、いわゆる保守派の言論人にも見られます。なぜ日本の政治家や言論人はいとも簡単に変節してしまうのか、この問題は今後の日本のためにも真剣に考えなければならないと思います。

 ここでは、弊誌10月号に掲載した、作家で作詞家の適菜収氏と哲学者の山崎行太郎氏の対談を紹介したいと思います。全文は10月号をご覧ください。

なぜ西尾幹二は変節したのか

山崎 もともと西尾幹二は安倍政権を絶賛し、安倍政権べったりでした。もちろんちょっとした批判はしていたと思いますが、根本的に批判していたわけではありません。どちらかというと、安倍政権と対立する勢力の批判ばかりしていました。それがここに来て急に安倍政権批判を始めたわけです。適菜さんは西尾の変節についてどう思いますか。

適菜 気になった点はいくつかあるのですが、一つは、あまりにも遅いということです。何か意気込んで安倍政権批判をしていましたが、安倍が日本を壊した後に批判を始めてどうするんですか。真っ当な保守派は当初から安倍を批判していました。

 第一次政権のときから安倍は小泉純一郎の構造改革路線を引き継ぐと明言し、ウォール街では「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」と発言。こんな極左のグローバリストを支持してきたのが自称保守の連中です。その結果どうなったんですか。TPP、北方領土の主権問題、移民問題……。世の中には不作為の罪というものがあります。今頃になって批判を始めても、免罪になるわけがありません。

 それから、西尾は産経新聞が安倍批判の原稿を掲載したことを評価し、「保守派」の仲間から「よくぞ言ってくれた」と言われたと書いていました。だけど、産経こそが安倍を支持し、国の形を歪めてきた張本人ではないですか。自分の安倍批判を応援してくれる保守派の人たちって誰なんですかね。なにを今更です。朝日新聞が慰安婦問題などをめぐって謝罪に追い込まれましたが、世の中がまともになったら産経新聞も謝罪に追い込まれると思いますよ。

山崎 おそらく西尾は世間の風向きを読んでいるのだと思います。これまで安倍政権はマスコミをうまく抑えていたから、テレビでは安倍政権に批判的な評論家やコメンテーターたちが降板することもありました。だからマスコミの中には、どこか安倍政権を批判しちゃいけないような雰囲気があった。

 だけど、森友学園問題や加計学園問題などが起こって、マスコミもようやく安倍政権批判を始めました。その批判がどんどん大きくなっていき、大衆的な盛り上がりまで見せるようになった。西尾はそのムードに乗っているだけです。

 でも、本当に安倍政権を支持しているなら、今こそ安倍さんを守るべきですよ。世の中の流れが変わったからといって、それに乗っかって安倍批判を始めるというのは、非常に卑劣だと思います。

適菜 あえて西尾を擁護すると、批判しないよりは批判したほうがいいというのが一点。それと、もうおじいちゃんだから、安倍の正体に気付いていなかったのではないですか。

 安倍は憲法を改正して一院制や道州制の導入を目論んでいますし、首相公選制を唱える維新の会とも改憲でタッグを組もうとしている。維新の会のバックにいる橋下徹は、かつて大統領制を唱えていた人物ですよ。要するに、反皇室です。そもそも、権力を集中させるのは、人民政府的な発想でしょう。だけど、保守派と呼ばれる人たちと話をしていると、安倍の発言を知らない人が多いんです。

山崎 彼らは安倍政権の政策を細かくチェックして賛成しているわけじゃなくて、ムードで賛成しているということですね。安倍は憲法改正とか拉致問題解決とか、平均的な保守論壇人が好みそうな政策を掲げています。だから、保守と左翼、保守と革新という単純な分類をして、安倍は保守派だということになってしまうのでしょう。

 だけど、実際には憲法改正にしても拉致問題にしても、保守派は安倍からことごとく裏切られています。政策がコロコロ変わって、最後まで続かないですからね。それでも彼らはそうした部分に目をつぶり、やっぱり安倍を支持してしまうんですよ。