『月刊日本』2020年6月号の紹介

日本は「身分社会」になった

 弊誌6月号は明日22日より店頭販売を開始いたします。

 今月号では「日本は『身分社会』になった」という特集を組み、法政大学の水野和夫氏らに話をうかがいました。新型コロナウイルスは、すでに大きくなっていた日本社会の格差をさらに拡大させています。大企業はコロナの影響による売上減にある程度対応できますが、中小・零細企業にはそんな余裕はありません。すでに解雇や雇い止めが相次いでおり、生活保護受給者も急増しています(5月9日付共同通信)。

 これほど国民が苦しい状況に置かれているにもかかわらず、安倍首相は国民に寄り添おうとしません。しかし、これは安倍首相が意図的に国民に冷たく当たっているということではないと思います。安倍首相のような世襲政治家は、一般国民と育ってきた環境があまりに違いすぎて、本当に国民の気持ちが理解できないのです。これが「身分の違い」というものです。

 歴史を振り返ったとき、戦前の日本でも似たような状況が見られました。1930年代の日本は世界恐慌のあおりを受け、厳しい生活を強いられていました。特に農民の生活は窮乏を極め、子供の身売りが日常的なものとなっていました。それにもかかわらず、政治家たちは財閥と癒着し、金儲けに勤しんでいたのです。この格差の拡大が、ときの総理を暗殺する五・一五事件を招いたのです。

 自民党内にも現在の状況に懸念を抱いている人がいます。その一人が、今月号でインタビューを行った自民党衆議院議員の安藤裕氏です。

 安藤氏は政府の対応は遅すぎるとして、このままでは6月末までに6割の中小企業の経営が破綻し、自殺者も急増すると述べています。安藤氏は安倍政権の政策を転換させるため、野党と合同で勉強会を開催するなど、野党との連携の可能性を模索しています。

検察庁法改正 これで国が壊れる!

 また、最新号ではいま話題の検察問題を取り上げ、衆議院議員の山尾志桜里氏とノンフィクションライターの森功氏に話をうかがいました。

 安倍首相は検察庁法を改正することで、検察人事に露骨に介入し、検察を自らの支配下に置こうとしていました。これは国家の根幹である法の支配や三権分立を破壊する暴挙です。

 これに対して、ロッキード事件の捜査に携わった松尾邦弘元検事総長らが検察庁法改正案に反対する意見書を提出しました。メディアは彼らの動きをこぞって取り上げ、後押ししました。

 しかし、ロッキード事件の捜査には多くの問題があります。そもそも検察は2010年に証拠の改ざんにまで手を染めています。安倍首相の検察人事介入は断じて認められませんが、かといって検察を応援すべきではありません。この問題については来月号でも引き続き論じていきたいと思います。

アーティストは声を上げろ

 安倍政権が検察庁法改正を見送るきっかけになったのは、ツイッターで芸能人たちが反対の声を上げたことでした。日本の芸能人はアメリカとは違って政治問題に言及しないことで知られていました。それが今回、彼らが積極的に発言したことで、大きなうねりが起こったのです。

 この問題と関連し、今月号ではKダブシャイン氏に話をうかがいました。Kダブシャイン氏は、日本のアーティストは「政治的」とか「社会派」と一括りにされることを嫌がっているのかもしれないが、私たちはみな社会で生きている以上、誰もが社会派なのだから、積極的に社会にコミットしていくべきだと述べています。

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