『月刊日本』2021年9月号の紹介

岐路に立つ自民党

 9月号は明日20日より書店販売を開始いたします。
 
 今月号では間近に迫った総選挙を見据え、自民党のあり方について議論しました。自民党が結党されたのは、昭和30年11月15日のことです。それ以来、今日までのほぼすべての期間、政権を担ってきました。

 自民党は2度下野していますが、すぐに政権を取り戻しています。自民党から政権を奪取した政党も自民党出身者を中心に構成されており、そこから考えれば、ある意味で自民党は政権を失ったことはないと言ってもいいと思います。

 しかし、現在の自民党はこれまでとは比べものにならない危機に直面しています。

 第二次安倍内閣のもとでは森友問題や加計問題をはじめ、多くの不祥事が起こりました。安倍首相(当時)はこれらの問題を強引に抑え込んできましたが、コロナ禍によってその無能さが明らかになると、ついに退陣に追い込まれました。

 安倍内閣から政権を引き継いだ菅義偉内閣も、日本学術会議問題や、首相の息子が絡んだ総務省接待問題などを引き起こしました。そして、安倍内閣と同じくコロナに対して何ら有効な対策を打てず、国民から見放される事態になっています。

 連立与党の公明党も苦難に直面しています。公明党議員2名の議員会館が東京地検特捜部から家宅捜索を受けたことは、彼らにとって大きな打撃です。選挙を創価学会に依存する自民党議員たちも無傷ではいられません。

 いかなる組織にも耐用年数というものがあります。結党から60年以上もの年月がたてば、軋みや綻びが生じるのは当然です。自民党はいま岐路に立たされています。

 こうした問題意識から、自民党の石破茂氏船田元氏にインタビューいたしました。

 また、自民党幹事長の二階俊博氏には、自民党総裁選や総選挙の話も含め、政治の現状についてお話をうかがいました。二階幹事長は今度の選挙は油断ならないと述べています。

 政治学者の中島岳志氏には、次期首相候補の一人である河野太郎氏について分析していただきました。

野党共闘の覚悟を問う

 菅内閣は急速に支持率を下落させています。朝日新聞が五輪閉幕に合わせて行った世論調査によると、菅内閣の支持率は28%、不支持率は53%でした。菅首相は東京五輪が盛り上がればそれにつられて内閣支持率も上がると考えていたようですが、その目論見は完全に外れました。

 しかし、この世論調査でさらに重要なのは、政党支持率です。こちらは前回の調査から大きな変化はなく、自民党は32%、立憲民主党は6%でした。比例区の投票先は、自民党35%、立憲民主党15%という結果でした。

 つまり、世論は菅首相にうんざりしているが、かといって野党に政権を担当してほしいとは思っていないということです。

 これはひとえ野党側の責任です。彼らは政権をとったあと、一体どのような政治を行おうとしているのかはっきりしません。また、政権を奪還するためには野党共闘が不可欠ですが、衆議院選挙がそこまで迫っているにもかかわらず、共闘の準備が進んでいるようにも見えません。

 立憲民主党の福山哲郎氏、国民民主党の玉木雄一郎氏、日本共産党の田村智子氏、れいわ新選組の山本太郎氏に、野党共闘の覚悟を問いました。

 さらに、今月号では思想家の内田樹氏に東京五輪を総括していただきました。内田氏は、今回の東京五輪は「国民分断の祭典」となり、感染拡大や巨額の負債のような「目に見える被害」とは違う「目に見えない傷」を残すことになると指摘しています。

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