【著者に聞く】 目覚めよ日本

 私は昭和3年生まれで、終戦前には「人間地雷」を志願し訓練を受けていました。愛国少年だったのです。戦後は「二度とアメ公なんぞに負けるものか」と歯を食いしばりながら懸命に働きました。そして海外の仕事に従事するうちに、侵略される悲惨さを肌で感じました。
 その原点は、1961年にメキシコのスラム街を歩いた時のことです。そこではメキシカン・インディアンが動物の如く虐待されていたのです。あれは奴隷よりもむごかった。一方で侵略者たるスペイン系の白人は優雅な生活をしている。侵略された民族は子々孫々人間らしく生きることができないという現実に言葉を失いました。その時から、ふつふつと煮えたぎる憤りを腹の底に抱えることになり、近代以降500年の列強侵略史を研究しはじめました。
 そして現役引退の前後、このままでは祖国日本が「第二のチベット」になるという予感が確信に変わり、日本の将来が心配で死んでも死に切れないという想いに駆られました。千冊以上の資料を読破し、15年かけて執筆した拙著は、白人の世界侵略と中国の少数民族弾圧を明らかにしたものです。
 侵略という抽象的な言葉が、どれだけ悲惨な具体的現実を示しているか。例えば中国はチベットを民族浄化しています。チベットの人口は600万人ですが、中国人の移住者はそれを凌駕しており、その数は日に日に増えています。チベット人男性は去勢されるか追放され、チベット人女性は漢民族と結婚するしかない状況で、もはや純血のチベット人は産まれてこないのです。そして国連はチベットを見殺しにしているのです。これこそが、我々日本人が生き抜かねばならない世界の現実なのです。
 今やわが国も侵略されるか否かの瀬戸際です。拙著が御国のために役立てばと念ずる事頻りです。
 目覚めよ日本!! 頑張ろう日本!!

(聞き手・構成 杉原悠人)