亀井静香 俺は平成の一揆を起こす

精神が腐った連中に、ろくな憲法は作れない

── 安倍総理は、憲法改正の発議と、それに続く国民投票は来年の参議院選挙のあとになると言っています。

亀井 憲法改正は安倍総理の悲願だ。俺も憲法を変えるべきだと考えている。日本人の魂のこもった憲法を作るべきですよ。

 しかし、いまのように、戦争大好き人間が中心になって、国民生活も一部の人間が幸せになれば後の人間の生活はどうでもいいというような政治が行われているときに改憲しようとしても、国民全体の幸せや国家の繁栄につながっていくような憲法は作れません。憲法を作る側の人間の精神がしっかりしていなければならない。精神が腐った連中が憲法を作ろうとしても、ろくなものは作れない。

 俺は憲法改正論者だけれども、いまやるべきではないと思っている。ただ変えればいいというものじゃない。どう変えるかをもっと議論しなければいけない。

── 9月以降、日本郵政の上場が予定されています。

亀井 現在、株式市場がバブル状況になっているので、いい値がつくだろうと期待されているが、外資に株式が奪われる危険性がある。アメリカはもともと、350兆円の郵政マネーを狙っていたんだ。この根っこを断ち切らない限り、常に郵政マネーはアメリカに奪われる危機にさらされているということだ。

 民主党、国民新党、社民党の連立政権が誕生し、2009年12月に「日本郵政の株式と資産売却凍結法案」が成立した。郵政民営化法は政府が保有しているゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式を2017年9月までに全株処分しなければならないと規定していたが、2012年4月には郵政民営化法案が改訂されて「できる限り早期に処分する」という努力目標に変わった。しかし、運用面で手足を縛ってしまった。外資は、日本郵政という巨大マシンを使って利益を上げようと狙っている。その一つの方法が株式の取得だ。

 ゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式がひとたび外資に握られれば、両社の資金の運用権を奪われることになる。株式の過半数に満たなくても、ある程度株式を握れば影響力を行使できる。

 外資の狙いは日本郵政に対する政府の関与の余地をなくして、自らの影響力を拡大することだ。

── 亀井さんが立ちはだかったことで、外資による郵政マネーの略奪は8年遅れたと言われています。しかし、いまや反対する国会議員はほとんどいなくなってしまいました。

亀井 安倍総理は独裁に近い形で政権運営しているのだ。それぞれの所管大臣も当事者能力がない。そして、議員でもなく、役人でもない学者や経済人が、規制改革会議や産業競争力会議の民間議員として重要な政策を勝手に決めている。

アメリカに骨までしゃぶられる

── 彼らが進めている規制改革は、国民の福祉につながっていません。一部の大企業、外資のための政策ばかりです。

亀井 結局しゃぶられてるんだよな。俺は反米ではない。アメリカの良い面も認めている。しかし、アメリカという国は自国の利益を拡大することについては極めて貪欲だ。だからアメリカとは、無理な要求には抵抗しながらつきあっていくことを考えなければならない。そうしなければ、骨までしゃぶられてしまう。

 アメリカに理不尽な要求をされたら、蹴飛ばせばいいんだ。

 「日本は生意気になった」と、仮にアメリカが感じたとしても、報復のしようがない。アメリカがわが国に置いている膨大な基地の周りが反米になったら、基地は使えなくなる。だから、日本を反米に追いやるようなことはできないのだ。

── 安倍政権は農協改革も一気に進めようとしています。

亀井 農協を改革しなければならないのは当たり前のことだ。農協が構成員の農家を食っているような状況もある。じゃあ、農協を解体して農家が生活していけるのか。農家が生活していけるような手立てをまず考えなければいけない。それもしないで、JA全中の地域農協(単位農協)に対する監査権を廃止するなどと言っている。

 商社なりエンドユーザーが直接農家と結んでいけばいいというが、その対応力のある農家は少ない。これまで以上に、農家は買い叩かれるようになってしまうだろう。そうした状況を考えずに、農協が怪しからんから解体してしまえという議論は間違っている。

 農家から見て、農協は悪い親かもしれないが、他人が来て「お前の親は怪しからん」と言ってぶっ殺したら、誰でも怒ります。

 農協解体が言われるのは、TPPに抵抗している彼らが邪魔だからだ。しかも、外資はJA共済の保有契約高約300兆円、JAバンクの貯金残高約90兆円を狙っていると見られている。……

以下全文は本誌をご覧ください。