菅沼光弘 皇統断絶はアメリカが仕掛けた

女性宮家問題の原因はアメリカだ!

―― 先月号では、日本の抱える領土紛争の背後にアメリカの意向が働いていることを見てきた。しかし、それは領土紛争だけに留まらない。アメリカの矛先は皇室にも向けられていた。

菅沼 最近話題になっている女性宮家創設問題の根源をたどっていけば、それもまたアメリカの存在にたどり着く。

 そもそも、なぜ女性宮家を創設しなければならないかという議論が行われるようになったのか。それは、皇族の数が少なくなっているからだ。

 皇室には、悠仁親王が誕生されるまで、男性皇族が長い間誕生しなかった。また、現在の皇室典範では第12条において「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」と規定されているため、女性皇族が結婚すれば皇族の数も当然減っていく。

 公務に従事する皇族が少なくなれば、皇室の活動を維持していくことも難しくなる。そこで、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保つことができるように女性皇族を当主とする女性宮家を創設し、その配偶者や子供を皇族にしようという話になったのだ。これが女性宮家創設問題の概略である。

 しかし、女性宮家創設の本当の目的は別のところにある。それは、安定的な皇位の継承を維持するために、女性宮家から生まれた子供にも皇位を継承できるようにすることだ。すなわち、その行き着くところは女性天皇・女系天皇の容認なのだ。

 仮に女性宮家の子供が皇位を継承すれば、史上初の女系天皇が誕生することになる。それは、古より連綿と続いてきた男系による万世一系の皇統の断絶を意味する。これは革命的と言ってもいいほどの大変革だ。

 かつて小泉政権の時代、「皇室典範改正に関する有識者会議」が行われ、そこで女性天皇および女系天皇を認めるという報告書が提出された。今日行われている議論は、この当時の議論の延長線上にある。

 もとより、皇族が少なくならなければ、女系天皇容認などといった議論は出て来なかったはずだ。なぜ皇族は少なくなってしまったのか。そこには、アメリカの策略が強く働いている。それを知るためには、敗戦時まで話を遡らなければならない。

天皇を恐れたアメリカ

―― アメリカは日本を占領統治するにあたって、天皇の存続を容認した。

菅沼 敗戦当時、ソ連などの戦勝国は、天皇を戦犯として処罰しろと主張していた。また、アメリカの世論の大半も、天皇の戦争責任を追及していた。

 それにもかかわらず、連合国軍総司令部(GHQ)は天皇を存続させることを決定した。それは、天皇が日本国民に対して大きな影響力を持っていたからだ。

 米軍は日本本土に上陸するときに、日本軍の激しい抵抗を予想していた。硫黄島や沖縄での戦いにおいて、アメリカは日本軍の強さを嫌と言うほど味わっていた。それゆえ、彼らは、本土でも同じような抵抗にあうことを覚悟していた。

 ところが、その予想に反して、日本軍は何一つ抵抗しなかった。一般の日本人も秩序を乱すことなく、GHQの指示に従って整然と行動した。

 これは一体なぜなのか。アメリカはその理由を探っていき、8月15日の詔勅にたどり着いた。天皇が終戦の詔勅を出されたからこそ、全ての日本人はそれに従って抵抗することを一切やめたということがわかった。

 これほど大きな力を持っている天皇を廃位すれば、これに抗議して多くの日本人が立ち上がり、日本社会が大きな混乱に陥るのは間違いない。逆に、この力を利用すれば、占領統治をスムーズに行うことができる。アメリカが天皇を容認した背後にはこのような思惑が働いていたのは間違いない。……

以下全文は本誌10月号をご覧ください。