子宮頸がんワクチン 悪のトライアングル

『新潮45』に異議あり!

 『新潮45』(2016年12月号)に村中璃子氏による「薬害でっちあげ あまりに非科学的な子宮頸がんワクチン阻止運動」という記事が掲載されています。製薬会社をはじめとして子宮頸がんワクチンを推進する動きは依然として続いています。

 本誌2017年1月号では、改めて子宮頸がんワクチン推進派の欺瞞を徹底追及しました。ご一読いただければ幸いです。(YN)

 『新潮45』(12月号)の表紙に「薬害でっちあげ あまりに非科学的な子宮頸がんワクチン阻止運動」の文字が踊った。巻頭論文のタイトルである。著者は村中璃子氏。医師・ジャーナリストの肩書で子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)に関する記事を書いている人物だ。村中氏はHPVワクチンは有益であると考え、子宮頸がんワクチンと接種後の症状(副反応)との因果関係を研究する医師らに否定的な立場を取っている。

 だが、村中氏は記事の外で様々な問題を引き起こしている。その背後には、ワクチンビジネスの闇があるのではないか。今月号ではWHO、厚労省、医師、製薬会社らの動きを追った。

厚労省は池田修一教授を追放する気か

 2013年6月、厚労省は定期接種化した子宮頸がんワクチンの接種勧奨を一時中止した。それ以来、「お勧めワクチンはお勧めしません」という矛盾した状態が継続している。この間、接種勧奨の再開を求める立場とそれに反対する立場の対立が続いてきた。現在、これに関連して村中氏をめぐる問題が起きている。

 厚労省は子宮頸がんワクチンの安全性を検討する目的で、信州大学の池田修一教授の研究チーム(池田班)と愛知医科大学の牛田享宏教授の研究チーム(牛田班)を設置していた。今年3月16日に厚労省は成果発表会を開き、池田班は予備調査の内容を報告した上で、子宮頸がんワクチンの安全性に問題がある可能性を示した。

 これに対して村中氏は雑誌『Wedge』7月号で池田班の研究は捏造だと批判した。池田氏は名誉を毀損されたとして、村中氏等を相手に訴訟を起こしている(本誌2016年9月号)。

 12月6日、名誉棄損訴訟の第二回口頭弁論を終えた村中氏は、厚労省と日本外国特派員協会で記者会見を開いた。厚労省の会見で、村中氏は池田氏の主張は研究の杜撰さを隠す「枝葉末節な争点」に限られており、研究者として責任逃れしていると主張した。

 本誌は会見でワクチンに関する専門的な質問を行ったが、村中氏は「私の専門部分ではないのでお答えできません」と答えた。会見後、本誌は事前に村中氏の公式ホームページを通じて取材を申し込んでいたため、この件を尋ねたが、村中氏は「えっ、知りません。私の考えは記事や記者会見でお話ししているので取材は受けません」と答えた。また外国特派員協会の会見後、いくつか質問したが、村中氏は「取材は受けないと言いました」と足早にエレベーターに乗り込んだ。

 一方、原告代理人弁護士の清水勉氏は、「村中氏は『Wedge』誌で池田氏が捏造行為を行ったと主張しましたが、その根拠となる記述は事実ではありませんでした。だから原告はこの部分を名誉棄損で訴えたのです。しかし被告側は求釈明書というものを出して、『原告が訴えている部分以外の点は争わないのか』と質問しましたが、裁判長に却下されました。被告が裁判の争点を広げようとするなど、非常に珍しいことです。村中氏は裁判で池田氏と科学論争を行いたいようですが、そもそも科学論争になっていません。我々は粛々と名誉棄損に関する弁論を進めるだけです」と述べた。

 だが、この問題は思わぬ方向に飛び火している。村中氏は『Wedge』で池田氏を批判するだけではなく、信州大学と厚労省に池田氏の「捏造」を通報したのだ。信州大学は調査を行ったが、11月に「研究不正はなかった」という結論を出した。

 問題は厚労省である。11月24日、厚労省はこの件に関する声明を出し、「池田氏の不適切な発表により、国民に対して誤解を招く事態となったことについての池田氏の社会的責任は大きく、大変遺憾に思っております」と発表した。

 前出の清水氏はこう語る。「この声明は異常です。池田氏は厚労省の了解の下で予備調査の内容を発表したのです。厚労省が『不適切な発表』だと思うならば、発表前に問題点を指摘すべきではないですか。『国民に対して誤解を招く事態となった』と言いますが、それならば厚労省も同罪です。『大変遺憾』などと言える立場ではありません。無責任極まりない。

 そもそも厚労省は池田班と牛田班を差別していました。厚労省の研究成果データベースによると、牛田班には平成25年度に3420万円、26年度に4220万円、計7640万円の予算が出ています。一方、池田班には26年度に450万円の予算しか出ていません。厚労省がどちらに肩入れしているかは明らかです。

 現在、池田班の活動は著しく支障を来たしています。しかしHPVワクチンの真実を明らかにするために、池田班の研究は必要だと思います。仮に問題点があったとしても、池田班の研究は続けるべきです」

 だが、村中氏はこの声明を根拠に、厚労省に対して「速やかに池田氏を研究代表者から解任する、あるいは、池田班を解散するといった措置を取り、これまでに池田班が使った研究費の返還を求めるべきだと考えます」と池田氏の処分を求めている。

 そもそも厚労省はなぜ池田氏を批判する声明を出したのか。また村中氏はなぜ池田氏を執拗に攻撃するのか。

WHOと厚労省は癒着していた!

 まず厚労省の問題から検討する。もともと厚労省は子宮頸がんワクチンの問題を検討する上で、ワクチンと副反応の因果関係に否定的な牛田班だけ設置したかったが、被害者団体や世論に配慮し、アリバイ作りのために池田班を設置したフシがある。それは予算措置を見ても明らかだ。そして今回の問題を奇貨として、厚労省は池田氏を追放する気ではないか。現に前述の声明は「池田氏に対する絶縁状」のように見える。厚労大臣の許可なしに、このような声明は出せないはずだ。近々、厚労省は池田氏に関する会議を開くという手続きを経て、池田班の処分に踏み切る恐れがある。

 厚労省は子宮頸がんワクチンと副反応の因果関係を認めたくないようだ。その背景には、同ワクチンを推奨するWHOと厚労省の癒着がある。

 2015年12月、WHOのGACVS(ワクチン安全性諮問委員会)は、2014年に引き続いて「HPVワクチンの安全性に関する声明」を出し、その中で同ワクチンの積極勧奨を中止している日本を名指しで批判した。しかし最近、ニュージーランドでの情報開示によって、GACVSと厚労省がやりとりしたメール文書が公開された結果、両者が水面下で手を結び、日本のHPVワクチンを推進しようとしていた事実が明らかになったのである。……

以下全文は本誌2017年1月号をご覧ください。